さいか屋横須賀店で開催中のパネル展「よみがえるあの時の横須賀」で監修を務めた 久保木 実さん 池上在住 68歳
小さな絵はがき歴史を語る
○…数多の郷土史研究家の中で、横須賀・三浦半島の近代史を語らせるならこの人だろう。戦前を中心とした絵葉書のコレクターとしても広く知られている。今月12日・13日には開催中の企画展で展示解説を行う。主たるテーマは、明治・大正・昭和と経済的発展を遂げた横須賀市心部の街並みの移り変わり。「関東大震災を機に、大胆な街づくりが行われた時代の一端を話そうと思っている」。展示資料の多くは自身の所有物だ。
○…元小学校校長。人前での講義や講演はお手の物。やわらかな語り口で街の変遷をわかりやすく伝える。それを裏付ける史料は自らの足で集めたもの。5千点を超す絵はがきに、戦前・戦後の商店で使われていた包み紙、京浜急行の前身となる湘南電気鉄道の観光PRポスターなど、多種多様。目にすれば当時の風景や時代背景がいきいきとよみがえる。「軍事上の理由で背景の山が消されているものもあり、時代の一端がうかがえる」
○…大学は史学科を専攻。現存する資料からたどれる近世に興味が向いた。教員時代、手持ちの絵はがきを授業に持ち出して地域の今昔を教えると、児童にウケた。これを機に収集欲に拍車が掛かった。370枚の絵はがきを収録し、解説を添えた写真集を自費出版したこともある。
○…今から30〜40年前、集めた絵はがきを地域の古老たちに見せて街並みの変遷を聞いて回った。研究者が場所を特定できずにいた逗子市の永井荷風別荘の場所を突き止めることができた。後世に記録と記憶を残すことの意義を確信する出来事となった。時は流れて今。軍港4市が「日本遺産」認定を受け、史跡や文化財などに注目が集まる。と同時に頼られるケースが増えてきた。「時代の要請かな」。伝えるものはまだまだあると感じている。
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