満願寺住職で「禅の坊さんもぼやく。そして学ぶ。」を上梓した 永井 宗直さん 岩戸在住 53歳
心をゆるめる禅の教え
○…「50代に向けた禅語の応えを」と編集者からの提案に、1年がかりでまとめた。今月上梓した「禅の坊さんもぼやく。そして学ぶ。」では自身を振り返り、本音もぽつり。”禅ブーム”と言われる中で、その心持ちを分かりやすく語る。
○…お寺の次男で、仏教系の大学に進学したものの、モトクロスに夢中になっていた。進むべく道に悩んでいた時に出会ったのが、手塚治虫の『ブッダ』。仏教は「死んだ人のためにある」と思っていたが、「生き方を示すもの」と気付かされた。視点が変わると一気に関心が深まり、卒業後は京都の天龍寺で修行に身を投じた。座禅では足の痛さに堪え、先輩には雑巾の絞り方で叱られ―日課に追われる中で”禅”の気付きを学び、3年間の濃密な時が過ぎた。著書には「失恋を癒してくれたのも座禅だった」と、正直な心模様も表す。かつては、人見知りだったが、「考えすぎの性格で。でも修行当時、関西弁でいじられて、挨拶や言葉を返すのも楽になっていた」と笑う。
○…満願寺を訪れたのは、建長寺の教学部に勤めて20年ほど経った頃。当時、檀家はたった3軒、元来は鎌倉時代に由緒がある禅寺。「観音さま」の存在に後ろ髪を引かれ、再興に力を注いだ。「芝との追いかけっこだった」と苦難もあれど、「丁寧な暮らし、ゆったりとした学びの場ができた」と振り返る。感謝しているのは寺を盛り立てようと、境内の掃除など重労働にも手を携えてくれた地域の人々。心の「拠り所」になっていることを嬉しく思う。趣味の釣りで出会う人たちも「姿勢やマナーが気持ちいい」と一言。「まだまだ周囲に学ぶことが多い」と襟を正す。
○…毎月の座禅会では若い世代の人も増えているという。「善悪や損得、執着心やネガティブな考えをどう収めるか。受け入れる、与えるという側にシフトすると、心がゆるむでしょ」と柔和な笑顔を見せた。
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