ソプラノ歌手として活動する 山田 望美さん 野比出身 26歳
生の声を”肌”に伝える
○…昨年から本格的にソプラノ歌手としての道を歩む伸び盛りの若手。大学生の時は合唱団の一員として後方で支えていた歌手と今は同じ舞台に立って共演するなど、着実に成長の階段を登っている。今回は「肩の力が抜ける」と自然体で臨める地元でのコンサート。「背伸びせず、誠心誠意の気持ちで」。朗らかな表情、優しい声からは純粋な気持ちが伝わってくる。
○…野比東小6年の時、地元出身のソプラノ歌手、鈴木慶江さんのコンサートで受けた感覚は今も忘れられない。「音楽を”肌”で感じた。ステレオを通さない声はこんなにもすごいんだ」。時を経て5年後、同じ道を辿るとは夢にも思わなかった。大津高校の音楽の授業で、他の生徒と同じように歌のテストを受けると、ソプラノで声楽の道に進むよう教諭に勧められた。慶江さんの母校、そして同じソプラノ―。人生が変わる気がした。携帯の購入資金を貯めるため、ピザ屋のバイトに明け暮れていた日々は、音大の試験に向けた猛特訓に変わっていった。
○…国立音大では全国から集まった100人の精鋭とともに、現役の歌手達から声楽を学ぶ日々を過ごした。現在は都内や横須賀で週1〜2回ステージに立ち、歌声を届けている。意識しているのは聴衆への責任感。今や、歌や音楽はネットやCDでそこら中に流れている時代。それでもわざわざ足を運んで聴いてくれる人がいる。自身が感じたように「ステレオ越しでは伝わらない声の力」を届けたい思いは強い。
○…声楽に出会ってから、わき目も振らず真摯に歌と向かい合い続けてきた。1月に行われた文化会館でのコンサート。歌い終わった後、近づいてきた地元の小学生の1人からこう言われた。「山田さんのファンになりました」。その瞬間、思わず頬がゆるんだ。15年前、1人の歌手に感動を覚えた少女は、いつしか「憧れる」側から「憧れられる」側に立っていた。
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