昨年度、市内の小中学校の運動会で行われた組体操競技で、29件の事故が発生していたことが明らかになった。市教育委員会の事故発生状況調査によるもので、5月31日の定例議会で小林伸行議員が取り上げた。近年、同競技における危険性が全国的に問題視されており、「安全対策などリスクが大きいにも関わらず、教育的効果は得られるのか」との質問が上がった。
昨年度、組体操を実施した学校は小学校46校のうち32校、中学校では23校中9校だった。練習や発表中に発生した事故は計29件。骨折は5件、脱臼や捻挫のほか一過性意識障害の診断を受けた児童もいた。状況は「ピラミッド練習中に上段生徒が落下」「倒立でバランスを崩して転倒」など。技の難度が高くなる中学校での発生が24件を占めた。
取り止める学校も
組体操の実施については近年、危険性を問う声が全国的に広がっている。市内では2014年度に22件(うち骨折7件)、15年は26件(同6件)の事故が発生していた。昨年3月にはスポーツ庁が事故防止について「実施のねらいを明確にし、全教職員で共通理解を図る」「習熟状況を把握し、安全対策を講じる」「大きな事故につながる可能性がある技については、慎重に選択する」「(教育委員会においては)具体的な事故事例などの情報を周知徹底する」―という旨の通知を出している。
これを受けて、昨年度の実施校では「年間を通した指導や体力向上が必要」「子どもの実態に合わせた技の選択や、教職員間での指導法の共通理解が大切」といった改善・反省点を挙げた。一方で、「体力差による技の不安定感がある」「指導に充てられる時間数が少ない」「他の競技でも力強さや全身を使った表現ができる」として取り止める学校もあった。
達成感か安全確保か
市議会では、今年2月にも大村洋子議員が実施の意義を青木克明教育長に質問。「完成までのプロセスを通して、集団として達成感や一体感を味わわせるなど期待される教育的効果があると考える」と答弁していた。また、今議会で小林議員は事故件数の増加や責任の所在について質した。教育長は「しかるべき配慮で指導するよう各校に通知している」「事故にあった児童生徒には、誠心誠意対応していくことが学校の責務」と話すに留まっている。
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