学校の空き教室を使用する学童クラブが市内で増えている。子どもの安全や遊び場を確保しやすいなどが主な理由だが、その一方で課題もある。空き教室の使用は賃料の負担がないことも利点にあげられるが、それが「日本一高い」といわれる保育料の改善にはつながっていない。
市内62の学童保育施設のうち、現在22が学校内の空き教室を使用している。主なメリットとして、犯罪や事故に巻き込まれるリスクが低いこと、移動時間が少なく、児童が放課後をより有意義に過ごせることなどがあげられる。
また、ボール遊び禁止などスポーツができる遊び場が減少している中、広い校庭では制約が少なく自由に体を動かせる。雨の日では体育館などが使用できる学校もあり、遊具も豊富だ。
学童の現場からは教師との連携が取りやすいという声もあがる。岩戸大矢部クラブの指導員は「普段と様子が違う児童に対して、日中の様子などを教諭と確認して対応できる」とスムーズな情報共有を行っている。
こうした点から学校内での開設を希望する学童も多く、市は積極的に学区内の空き教室を紹介している。この3年で7クラブが移転、来年度からも新たに4クラブが教室を使用する方向だ。
保育料は変わらず
全ての学童クラブが民設民営の横須賀市。ビルの1室などを借りる場合、賃料が20万近くするケースも多い。それが保護者の負担となり、全国平均の2倍近い高額な保育料につながっている。校内利用の場合は、賃料の負担がないため市は今後も数を増やし、「保育料の減額にもつなげていきたい」としている。
しかし現状では、学校内の施設を利用するクラブと民設のクラブに大きな保育料の差は見られない。その理由について市学童連絡協議会の担当者は「賃料負担がない分を指導員の人件費などに充てているケースが多い」としている。学童指導員の賃金は月給15万円前後の所も多く、離職率も高い。子どもを預かる職責にも関わらず、待遇は厳しい。市は昨年度から非常勤職員への人件費補助の施策を打ち出しているが、正社員に対しては各クラブ任せの状況だ。同協議会は学校施設の活用に加え、指導員の処遇改善についても求めていきたい考えだ。
* * *
国は、放課後の空き教室利用に関して全児童への施策を促している。次回は市が取り組む「わいわいスクール」や「放課後子ども教室」の事業を取り上げる。
横須賀版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|