横須賀建築探偵団の代表で今月14日、「万代会館を寿ぐ」と題した催しを行う 富澤 喜美枝さん 日の出町在住
街の歴史 伝える責務
○…市の計画で廃止が取り沙汰された津久井の万代会館。この場所で7年前から「湘南邸園文化祭」の横須賀会場として、催しを行っている。今年は「万代会館を寿(ことほ)ぐ」と掲げ、存続を祝うと共に「稀少な茅葺き屋根の建物が身近にあることや、地域の歴史・文化を改めて掘り起こすきっかけにしたい」と話す。
○…市民文化財団の情報紙「はまゆう」の編集を担当していた際、取り上げたのが「建物から横須賀の歴史を学ぶ」という内容。その取材を発端に「横須賀建築探偵団」を立ち上げた。今から25年前のこと。軍都として栄えた横須賀の面影が、そこかしこに残っていた。「訪ね歩いて話を聞いて、記録に残していく。自分の暮らす町の姿、背景にある物語との出会いが楽しくて」。10年前にはこれを一冊にまとめたが、既に取り壊されてしまった建物もある。「未来永劫にあるわけではない。ただ、手入れしながら長く役割を果たすことも可能だと思う」。万代会館や保存活用に力を入れてきた上町教会も同様だ。生まれ育った上町の実家も「日本家屋の佇まいや職人の温かみ。戦前の建物だけど、いちばんほっとできる場所」とほほ笑む。
○…「調べて著す」―ライフワークの起点となったのは、豊島小PTAでのこと。広報紙で地域に関するコラムを担当したメンバーが集まり「三浦郡豊島町をもっとよく知る会」を発足。30年を超える活動の中、今年は、出征や疎開など戦中戦後を経験した世代、51人の聞き書きと手記を本に著した。口承の機会が少なくなり、次世代に形にして残す責務を強く感じている。
○…下町で暮らしながら街を見つめるなかで、市の景観審議会や中央地区のまちづくりに関する委員にも名を連ね「生活者目線」の率直な意見も述べる。最後に「”とりあえず”って言葉は使わないようにしているの」と一言。そこには「今できること」を大切にする真摯な姿があった。
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