管理栄養士、国際薬膳師で薬膳の普及に取り組む 石渡 千代さん 池上在住
薬膳で心身豊かに
○…演台に貼られた名前は「千代先生」。普段からそう呼ばれているという。先日行った若手農家とのコラボイベントでは、薬膳の視点から地元みかんの魅力や効能を熱く語った。
○…「食」を意識し始めたのは学生の頃。自作のシチューを家族に褒められたのが、関心を持つきっかけ。その感激を胸に、「手に職をつけるなら管理栄養士に」と進路を決めた。病院や保健所で勤務し、薬膳に出会ったのは30年ほど前。食材の持つ陰陽の力や五行、節気、生薬との相性、身体への効果を学んだ。「例えば、大根でも上下の場所によって、持っている”力”は違う」。栄養価や数字の組み合わせだけはない食の世界を「知ってしまったの」とほほ笑む。その”養生”のおかげで、悩んでいた花粉症も気付くと軽くなっていた。
○…中医学や薬膳という言葉は、まだまだ「難しい」という印象を持たれている。それを身近な食材で親しんでもらえるよう、地域で講習会を開き、精力的に活動する。市内の教え子たちと作ったグループ「さんざし」では、ランチのお店も期間限定で開業。監修したレシピ本は、1千冊を完売し再販となった。「地元の仲間が盛り立ててくれて嬉しい」とニッコリ。季節や食材の旬、使う部位など必要な知識を広めるだけでなく、力を入れるのは、地場産物の活用。摘果の青みかんもその一つ。「食材のパワーを増やす食べ方を知れば、生活がもっと豊かになるはず」という想いを込める。
○…大学生から2歳まで孫は9人。娘が悪阻に苦しんでいた際は、症状を聞き取りながら、あの手この手。持っている知識をフル活用して「無理して食べなくても、力のある食材を活かす」ことに注力。食で家族を支えてきた。気や心にも作用する薬膳を「探究心を掻き立てられる」と表現する姿は研究者のよう。「身体の声を聞き、食べることの素晴らしさを伝えたい」。”伝道師”として、まだまだ奔走が続きそうだ。
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