横須賀市は事務事業等の総点検で、計160事業を廃止や見直しとする方針を明らかにした。削減の総額は約20億円となる試算で、12月定例議会の各常任委員会で計画案が示された。「はつらつシニアパス」の対象年齢と利用者負担の引き上げなど、福祉部に該当する事業が多く「これまでのサービスが過剰だったかもしれなかったが、高齢者対象事業をバッサバッサと切っている印象がある」との市議の声もある。
税収減に財源確保
事務事業の総点検は4年に1度行っており、少子高齢化に伴う社会保障費の増加や、今後実施する新たな事業の財源確保のため、既存の計画や運営状況を見直すもの。社会状況の変化や民間事業者の展開、他都市との比較などを検証し、18部局で160件の事業を見直し、または廃止とした。実施期間は2018年度から21年度の4カ年で、これによる事業費の削減は約20億円と見込んでいる。
「見直し」とする事業が目立ったのは福祉部。65歳以上を対象としている「はつらつシニアパス」は、市内すべてのバス路線を6カ月間乗り降りできるもので、販売価格は17900円。高齢者の外出を支援する事業だが65〜69歳の購入者のうち、約半数が「通勤・仕事に使用している」として目的と合致していなかった。そこで、対象年齢を70歳以上に引き上げ、19600円に値上げする。市の負担額は1800円から1000円に減額。来年12月販売分から実施する方向で、これにより1700万円の予算圧縮となる。一方で、外出支援に関わる事業として、公共交通機関の不便な地域でのコミュニティバス運行に関する補助制度導入の検討も示している。
ほかにも、ひとり暮らし・寝たきり高齢者を対象にした事業で自己負担額の引き上げ案が並ぶ。88歳・100歳・105歳の高齢者に現金や品物を贈る敬老祝金支給事業も、メッセージカードの贈呈に変更。支給対象者が増加していることが大きな理由で、約1200万円の削減となるという。また、配食と安否確認を行う「ふれあいお弁当」については、ボランティアへの負担が大きく、民間サービスも増えていることから、19年度に廃止する方針。
これらの見直し案に対して、5日の教育福祉常任委員会では「個々の支援状況に応じて、使いやすく選べる仕組み作りも考えるべき」「見直しにおいて、代替のスキームを提供することも必要。より良いものにするための廃止であってほしい」との声も上がった。
コミセンも有料化
使用料が無料だったコミュニティセンターにもメスが入った。公平性と将来的な施設の安定運営を確保するためで、貸室のタイプに応じて、1コマ3時間で200円(小会議室)〜1000円(体育室・集会室)と使用料金を設定。有料で運営している県内の公民館や市内の公共施設を参考に検討を進める方向で、市議からは「減免の対象はあるのか」「1コマ3時間という設定は、用途によっては使いづらい」といった意見もあった。この料金設定で試算した収入の見込みは6200万円。来年度、使用料の在り方について考え方を整理し、2020年度の有料化を目指すという。
市消防局が運営する市民防災センター「あんしんかん」も廃止となる。開設から15年、年平均約1万5千人が利用しているが、施設やコンピューターOSの老朽化を理由に、来館での体験ではなく出張型の啓発に移行する。起震車を購入し(約3500万円)、市内のイベント等への出展を増やして防災意識を高めていく。閉館は来年度末で、1年をかけて周知を進める。
同計画案は、常任委員会などでの意見を踏まえ、来年2月の市議会定例会で最終報告を行い、3月に実施計画として公表する方向。
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