技術や資格を持って「起業したい」と思っても、どこから何を始めればよいのか。スタートは1人。専門家にアドバイスを求めたい、仲間が欲しい…そんな「悩み」も少なくない。
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市内で活動する女性起業家応援団「WITH(ウィズ)」の創設は2008年。当時、市外に在住していた西村ゆかりさんが、ファイナンシャルプランナー(FP)として横須賀で独立したことがきっかけ。顧客ニーズに合わせた柔軟な保険比較を提供したいと起業した。市の創業セミナーを経て、産業交流プラザの支援オフィスに拠点を設けたが、市内に事業の基盤はなく、知り合いもいなかった。「起業家の異業種交流会は増えていた時期。でも男性中心で”売上をあげるには”といった営業の話題が大半だった。その輪に入るのも何か違うなと思って」と西村さん。市産業振興財団のバックアップで、仲間作りを目的に「WITH」を立ち上げた。
人を広げる拠点に
創設10年を迎え、メンバーは入れ替わり10人前後で推移。同財団の中小企業診断士らが活動をサポートし、ビジネスチャンスの拡大・発掘を目的とした発信基地となっている。現在は、アートセラピストやフラワーデザイナー、英語トレーナーなど多種多様な個人起業家が参加。メンバーが講師役となり、一般聴講者を募ったセミナーを実施、起業に関する講演や懇談会も定期開催している。新たな需要の掘り起しや、人・サービスをつなげるきっかけ作りが”応援団”の役割。昨今、SNSなどを使った事業PRも盛んだが、「便利な分、一方通行になりやすい」という。「対面で”人を広げること”も必要。今は起業まで至っていなくても、仲間がいることが刺激になるはず」と交流の意義を話す。
また、西村さんは「女性の起業はストック(オフィスや商品などの初期投資)の負担が少なく、身の丈から始める傾向がある」と分析。加えて、資格や技術・知識を”商材”にしている人も多く、子育て・介護など自身を取り巻く環境の変化にも「緩やかに(事業を)続けやすい」と考える。
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市では企業誘致に力を入れるが、地元への経済波及は限定的と言われる。商工会議所では、個人や少人数の起業に注目しており、支援メニューも多様に用意している。女性に特化した創業セミナーも活況で、「小さな起業」を積み上げて産業を生み出し、市内経済の活性化につなげたい考えだ。
*この連載では、市内で起業し事業継続・拡大を目指す女性を取材しました。〈連載終わり〉
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