12歳の文学賞 奨励賞に笑顔 加藤栞さん(三浦市初声町)
小学生の中から文学的な才能を発掘しようと行われている小学館主催の「12歳の文学賞」小説部門で、三浦市内に住む加藤栞さんが奨励賞に輝いた。作品は、子猫と余命わずかの男の子との生活を感謝の気持ちをキーワードに書いた物語。登場人物の気持ちのやり取りが、小学生らしく素直に表現され、うまく文章化されている点が評価されての賞となった。
7回目となる同文学賞は、小説部門に全国から1141作品の応募があった。最終的に残ったのは20作品。「うまく書けたと思ったので少し自信はあった。でも賞をもらえるとは思っていなかったので驚いた。うれしい」と加藤さんは笑顔を見せた。日頃から文章を書くのが好きで、ラブストーリーが得意だとか。母親からこの募集を聞いての初チャレンジだった。
作品は、子猫の「ビャウ」と余命わずかの男の子「優」が出会い、そして別れまでを書いたもの。親猫とはぐれ、人間にいじめられ怖い体験をしたビャウは、優と出会う。優は、ビャウと出会ったことで病魔の苦しみから笑顔を取り戻すことに。また、ビャウも優と家族の優しさに包まれ生活を共にする。しかし、病魔は優の体を確実に蝕んでいき、お別れの日がやってきた。
物語は、猫を主人公にし、猫の気持ちを素直に書いている。モデルとなったのは、加藤さんが飼っている猫「クララ」。クララは野良猫で加藤さんが拾ってきた。「クララも最初は一人で寂しかったのだと思う。そんな気持ちを表してみた」。ストーリーは書きながら決めていったとか。「登場人物や物語の設定はその時の思いつき」と話す。
最後に優は死んでしまう。ビャウは優と出会えたことに「ありがとね。優君」と締めくくっている。「悲しい別れの中にも、ありがとうという感謝の気持ちを入れたかった」と話す。
加藤さんの担任の石渡慎平先生(初声小)は「1次、2次審査の経過は本人から聞いていた。嬉しそうに報告してくれていたので、上位までいってくれればと願っていた。良かった」と話した。
現在、小説家になろうとは考えていないと笑う加藤さんだが「応募して良かった。今度は、もっと上位の賞をとれるように書きたい」と次なる目標を掲げた。
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