二町谷の土地売買白紙に 保証金未納で契約解除
三浦市の二町谷埋め立て分譲地に関する売買契約保証金未納問題について吉田英男市長は18日、会見を開き土地売買契約を結んだ(有)吉龍(内田信吉社長)との契約解除を発表した。
吉龍は、契約保証金として売買金額の10分の1にあたる約2億円を市に納入することになっていた。しかし、市の再三にわたる催促にも関わらず、7月10日の本会議で可決後から2カ月経っても振込はなかったことが解除の理由。
会見で吉田市長は「市民や議会にこの件に関して、心配を掛けたことを申し訳なく思っている」と陳謝した。今回の契約保証金が振り込まれなかったことに関して「話し合いを進め契約に至ったのに、振り込まれないことは想定外だった。今回の件で、二町谷の土地活用に至る筋書きが崩れたことは非常に残念」と説明した。「保証金の納入は契約書に書かれていること。これが履行されなかったことが問題」と契約不履行を強調した。「市としても納入を働きかけたが、応じることはなかった。いつまでもこのままにしておくわけにはいかないので解除を決断した」とこのタイミングに至った理由を説明した。違約金を求めるのかという質問には「今回の契約解除による違約金を吉龍に求めることは現時点ではない」と話した。市は、土地売買に関する収入を見越して今年度予算に組み込んでいる。吉田市長は「補正予算で修正する」と話した。
吉龍は、栃木県足利市で食品の輸入などを扱う会社。契約を結んだ土地は、埋め立て地内の4・4haで売却金額は約20億1500万円。練り物加工工場ほかを建設する意向を示していた。
東北出身の内田社長は、今回三浦で事業を始めるにあたり、震災の被災者50世帯約150人を従業員として雇用する計画だった。契約保証金を振り込まない理由として内田社長は、「被災者用の住宅確保や冷蔵施設など話が違う点がある。市は、契約保証金の催促ばかりで不信感を抱いた」と話す。この件に関して市長は「認識の違い」と話している。
当紙のインタビューに対し内田社長は、「この状態では三浦で事業はできない」と事業白紙の方針を示している。
三崎で事業を営む男性は「市はもっと、相手方の詳細を様々な角度から調べ、慎重に進めていれば、今回のように振り回されることはなかったのでは」と嘆く。地元に住む男性は「売れたという話を聞いて、明るい望みが出来たと思ったのに残念。三浦の財政が厳しい中、あの埋立地を今更元に戻すわけにもいかないので、今後も頑張ってほしい」。50代の女性は「こういう結果になったかという印象。あそこの土地を埋め立てたこと自体が問題。何もできなく市民にしわ寄せがきている」と怒りを露わにしていた。
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