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三浦版 公開:2015年3月27日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第80回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

公開:2015年3月27日

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心光寺門前の「豚頭観世音」塔
心光寺門前の「豚頭観世音」塔

 「心光寺」山門の左側にこの諸磯の各地にあった「庚申塔」などがまとめて祀られています。二列になっていて、前面に6基。後ろにも6基が祀られているのです。先ず、前面の左側から見ていきましょう。

 はじめは「合掌六手(がっしょうろくしゅ)」の「青面(しょうめん)金剛像」で、石塔は、「板駒型」と言われる形で、銘文に「宝永五年(1708)戊子(つちのえね)正月六日」とあり、「三浦□磯村講中」が記されています。□の所は不明の箇所です。次には、「庚申供 塔」と銘文され、「元文五年(1740)五月吉日」とあって、下方に「諸磯村 搆中」とあります。この塔は「柱状型」ですが、左右に「かんおんみち 三浦三十三番札所」と刻されている「道標」であったのです。3つめは笠付型で、正面に「庚申供養塔」とあり、右側に「寛政五丑(うし)年(1793)」と刻されています。4番目には合掌六手の「青面金剛像」で、三猿も正面を向いています。「元禄十一(1698)年戊寅(つちのえとら)十二月吉日」の年号と共に「諸磯村」の文字が読みとれます。5番目は駒型で、正面は剣や弓を持った「青面金剛像」ですが、体に蛇を巻いて、大きな邪鬼を踏んだ姿になっています。年号は明治24(1891)年で、台座に「講中 十三人組」と記されています。6番目は門に近く、剣人六手の「青面金剛像」で、童子を右手に提(さ)げる姿と邪鬼の顔と金剛の顔つきに、やや滑稽さを感じさせるものです。年号は6基の中で最も新しく、明治41(1908)戊申(つちのえさる)年五月五日となっています。

 後列は「馬頭観世音」が4基で、年号のわかるものは明治と昭和のみで、2基は不明です。他に、「牛頭観世音」と合掌姿の仏像を刻んだ墓石があります。

 中でも、非常に珍しいものに、「豚頭観世音」と刻された石塔です。それについて、三浦市教育委員会発行の『三浦の文化財』第十三集に次のようにあります。 「(前略)現在、郷戸の入口で酒店を営んでいる(現セブンイレブン)三上家の先代三上七之助氏が建てたものである。同家は戦前、農業のかたわら母屋と地続きの場所で堆肥を作るため豚を十数頭飼っていた。(中略)家畜は生活上家族の一員のようなものであったため、三上家では豚頭観世音塔を建立し、供養したいという。(後略)」とあります。 心光寺入口には、このように諸磯の地に住む人々の信仰心の厚さや地域の歴史が感じられるのです。他に白須へ向かう道の脇にも「三界万霊等」の文字を刻した「地蔵尊像」は寛延元(1748)年戊辰十月の建立です。その隣は「南無阿弥陀仏」と刻まれた石塔もあります。当時の道筋がいかに難儀であったであろうことをも思い起させるのです。(つづく)
 

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