外国人バックパッカーや若年層の旅行客を中心に人気を集めている、宿泊施設「ゲストハウス」。近年では利用者の増加に合わせて施設数が増えており、三崎地区でも開業準備が進んでいる。滞在型観光の促進や雇用機会の創出、空き家問題解消などの利点があることから、地元では宿泊施設の少ない同地区の観光振興に期待の声があがっている。
ゲストハウスとは、宿泊料金が安価な簡易宿泊所をさす。ホテル・旅館とは形態が異なり、一般的に提供されるサービスや館内設備は必要最低限にとどめられている。相部屋や宿泊者が自由に利用できる共有スペースなどを有しているのも特徴で、利用者同士の交流、情報交換ができることが魅力のひとつとされている。
ゲストハウスは2000年に入ってから台頭。当初は沖縄や京都などで多く見られていたが、この数年で全国的に広まっている。未だ、「ゲストハウス=安宿」というイメージを持つ人も多いが、女性客やバイク・サイクリストといった多様化する利用者ニーズに対応した細やかなサービスを提供する宿、風情ある古民家を丸ごと改築した宿など趣向を凝らした施設が人気を得ている。
空き家解消に奏効
利用者の増加に比例するようにゲストハウスの開業も広がりを見せており、市内では特に三崎地区での開業準備が進んでいる。
三崎港前に店を構える老舗酒店の山田屋酒店は、店舗の一部を改築した宿泊施設のオープンに向け、現在工事を進めている。入母屋屋根が特徴的で、およそ築90年の趣ある建物をリノベーション。今後、町家の宿として活用される予定だ。このようにゲストハウスの多くは既存の建物を改築・改修すれば再利用が可能なことから、全国的に顕在化している空き家問題の解消に注目が集まり、行政も熱い視線を注ぐ。
その一例として、京都市では「空き家活用・流通支援等補助金」という京町家のゲストハウス化の支援を盛り込んだ制度を創設。空き家を活かした積極的な地域再生を進めている。
宿泊客低迷が課題
都心から約1時間半というアクセスの良さが”諸刃の剣”となり、三浦を訪れる来遊客の大半が日帰り観光で占められる。年間500万を超える人が訪れるが、市の統計では宿泊客はそのうちの8分の1程度、過去10年、ほぼ横ばいで推移する。観光は農業・漁業に続く、三浦の基幹産業の1つ。市も「たくさんの来遊客が来るが、宿泊型になっていないことが市としても課題」との認識を示し、観光消費額の伸び悩みに苦慮する。
三崎での開業をめざす菊地未来さん(26・栄町在住)は、「観光・新体験・出会いを求める人が増え、(ゲストハウス基点の)地域活性化の可能性はある」とした上で「ビジネスとして成功させるには、周辺地域だけでなく国内外の様々な消費者の開拓も必要では」と話す。また、地元住民は「飲食店や商店での消費に繋がる。街も賑やかになるのでは」と話し、好影響に期待が寄せられている。
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