三浦半島の竹林整備などを行う「三浦竹友の会」の代表を務める 中村 力さん 諸磯在住 73歳
竹取の翁、三浦にあり
○…三浦半島の各所で竹林の保全整備活動を続けて10余年。長さ10〜20mにもなる竹を軽々と伐採し、間伐材を炭や竹垣、手工芸品に生まれ変わらせる取り組みは、「野山にまじりて竹をとりつゝ、よろづのことにつかひけり」―と、かの有名な竹取物語の一節を思い起こさせる。定期的な手入れは骨が折れるが、手間をかけた分だけ自慢の景色が広がる。誇らしげにその様子を見つめる姿、さながら”三浦の竹取の翁”だ。
○…定年後、社会参加や生きがいの1つになればと会の活動に参加したことがきっかけで、予期せず竹の魅力の虜になった。「手になじむ感触、サラサラと風に揺れる音と青々と茂る葉。空に向かって真っすぐで、見ていて気持ちがいい」。会社員時代は仕事に追われて地域に目を向けたことはなかったが、誰かの役に立って感謝される喜びも知ることができたと振り返る。
○…旺盛な繁殖力と生育スピードが早く、一度手入れしても放置するとあっという間に荒れてしまうため、整備活動そのものにゴールはない。会員の高齢化などで思うように活動ができず、歯がゆくなることが増えてきたのが目下の悩み。会員増強もさることながら、描く理想の運営形態は、「半島各地の住民有志が竹林を守り育てる地域に根ざした仕組み」と話す。日本人にとって当たり前の見慣れた風景をもう一度見直してもらえたら。その思いが長年の活動を支えている。
○…「自宅にいるのは食事と睡眠くらい。じっとしていられない性格で」。会の活動にとどまらず、畑仕事や囲碁に釣りと、さまざまな趣味を全力で楽しむのが人生訓だ。多忙ながら充実した毎日を過ごせるのは健康あってこそ。原動力を尋ねると「毎朝のウォーキングと体操、あとは腹筋・腕立て伏せ100回が秘訣かな」と40年来続く日課を明かす。まるで竹のように丈夫な体と、しなやかなフットワークで今日も趣味に一直線だ。
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