三崎魚市場青年部「鱗会(うろこかい)」の2016年度会長を務める 久野(くの) 大介さん 下宮田在住 44歳
次世代に届け、マグロの魅力
○…地元の特産品の魅力や地域経済を支える水産業に関心を持ち、海の素晴らしさを目と舌で味わってもらおうと、小学校でのマグロの解体授業を行っている「鱗会(うろこかい)」。メンバーは三崎魚市場で働く45歳までの若手仲買人らが顔を揃えるなか、古参会員として手腕を発揮する。大きなマグロをものともせず鮮やかな手つきで解体する職人技を間近で見た子供たちが、「『カッコいい。大人になったらやってみたい』って憧れてくれたら最高です」
○…日本人のマグロ好きは然ることながら、海外でも爆発的な和食ブームでマグロの漁獲量は増加。クロマグロにおいては絶滅危惧種に指定されるなど消費が右肩上がり。かたや国内では、食生活の変化などにより昨今、魚離れが叫ばれて久しい。安い輸入肉に押されるように、1週間で1日しか魚を食べない家庭もあるという。「過去には、マグロが三崎の岸壁で釣れると思っていたなんて子もいました。授業し甲斐がありますよね」
○…19歳で働きはじめ、その後、独立して人出の足らなかった父の手伝いを行うようになった。3人兄妹の長男だったこともあって、後継ぎの意識が自然と染みついていたという。それから四半世紀。近年では、馴染みの同業者が1つまた1つと店をたたんでいく光景を目にする機会は少なくない。こうした厳しい現状も鱗会での活動を奮い立たせるひとつだ。三浦三崎の地で脈々と受け継がれてきた産業に小さいうちから親しみ、地元愛を育んでもらいたいとの思いは強い。
○…生まれてからさぞ美味しい魚に囲まれて育ち、舌が肥えた少年だったのだろうと尋ねれば、「実はなかなか偏食家で、子どもの頃は生魚が得意でなはなくて」と意外な本音をポツリとこぼす。そんな中でも久野家の食卓に度々登場するマグロのすき焼きだけは別格だったようで、記憶のなかの妙味を思い浮かべながら相好を崩した。
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