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三浦版 公開:2016年9月23日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第115回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

公開:2016年9月23日

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妙音寺入口の仁王像
妙音寺入口の仁王像

 この飯森区には名刹があります。以前に紹介した「安楽寺」や「円乗寺」の本山に当たる寺院が「妙音寺」です。高野山真言宗で、「飯盛山明王院」の山号を持つ寺で、「三浦七福神」のうち「鶴園福禄寿」を祀っている寺でもあります。

 前回に記しましたように「飯森神社」入口の手前を真っすぐに進むと「妙音寺」に至ります。

 『新編相模風土記稿』に「古の寺地は妙音寺原と称す、中興賢栄今の地に移す」とあり、それは天正年間(1573〜92)の頃かと思われます。さらに「本寺に伝る文書あり」として、「天正十一年(1583)北條氏より三浦郡雨乞ひの祈念、精誠を抽ずべきの由、延命寺(註・逗子在でかつては妙音寺の本山であった)及当寺に令する所なり。」とも書かれています。

 本尊は「不空羂索(ふくうけんさく)観世音(かんぜおん)菩薩(ぼさつ)」で、「この観音の陀羅尼(だらに)(呪文)を唱えると、身体が健全で病気にかからず、人々から愛され、財害や毒害、火水難を受けず、戦死・餓死せず、衆人に称誉され、煩悩を断って、毎日が慈悲と喜捨に満ちた生活が送れるなど、20種の優れた利益(りやく)を得るという。」(学研『仏尊の事典』より)

 以前は「明王院」の言葉が示すように、本尊は「不動明王」で、『新編相模風土記稿』には「末那板(まないた)不動と号す、長一尺七寸天文中(註・室町期の年号で1532〜55年)海中より出現」と書かれており、また、『三浦古尋録』(文化九年壬申1812年)の中では「道寸彫刻ノ真奈板不動有則裏方ニ真奈板ノ如ク足アリ」とあります。

 当寺の縁起の中に次のような文があります。

 「当山裏山は昭和五十一年より二十三年の歳月を費やし、平成十一年、三〇種三二〇〇本の花木と、大日如来を中心とする一〇〇種一七四躰の石仏によって構成される祈りの聖地『花山(かざん)曼荼羅(まんだら)』として蘇(よみがえ)った。」とあって、四季折々の花が咲くとも記されています。その「花山曼荼羅」の御本尊が、山の頂きにひときわ大きく座(ましま)しておられる「大日如来」さまです。像高7m、その姿は遠くからでも拝見できます。また、「干支(えと)守り本尊八仏」のうち「大日如来」は未申(ひつじさる)歳(とし)生れの守り本尊でもあります。

 寺の花ごよみでは、一月の水仙に始まり、梅・桜・紫陽花・蓮・菊などが咲くようです。特に、「東国花の寺百ケ寺」では「山ゆりの寺」とあり、「秋の七草寺社めぐり」にあっては「葛(くず)の寺」となっています。

 寺の入口前には「四国八十八ケ所御砂踏み霊場」も設けられ、弘法大師の立像も拝むことができます。他には「迦陵頻伽(かりょうぴんが)」という美しい鳥の像や「七福神」の像などが見られます。さらには、多くの「馬頭観音」の石塔も祀られています。

(つづく)
 

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