三浦市が経済的な理由で大学進学を諦めなければならない子どもたちの学習意欲を支援する返済不要の「給付型奨学金制度」の創設準備を進めていることが分かった。従来の貸付とあわせて入学時に最大48万円を支給。子どもの貧困対策に資するもので、教育格差解消を図る。運用開始は来年4月をめざす。
三浦市が「市奨学金貸付条例」で定める奨学金の貸付制度は、修業期間中、1月につき上限2万円を無利子で貸し付けるというもの。大学、短期大学、専門学校などへの進学・就学を対象としている。選考条件は、家計支持者の総所得が800万円未満であることなどで、学業成績や人物評価、家計状況をそれぞれ点数化して検討。市の発表では直近5年間の応募者は計19人で、そのうち14人が実際に奨学金を受けている。
これら既存の制度に加えて、今回新たに創設されるのは返還義務のない給付型の奨学金。入学に必要な準備金48万円(最大額)を支給する。仮に4年制大学への入学であれば、合わせて最大144万円(月2万円×12カ月×4年+入学準備金48万円)の学費支援を受けることができる計算となる。
奨学金貸付条例の一部を改正する条例案は、現在開催中の第4回市議会定例会に議案提出されており、今月20日(火)に開かれる本会議で可決されれば来年4月にも運用をスタートさせる予定だ。
開始に際して、給付・貸付け事業を円滑に行うための「三浦市奨学基金」も新設。有志から送られた寄付金の積み立てなどを行うという。
国も導入検討
返済を危惧して申請をためらう世帯や卒業後20年以内の返還期間を遅延する人も多いなど課題が多い奨学金制度。
現在、国の奨学金事業は、「日本学生支援機構」が運用する月額3万から12万円の貸付型(有利子・無利子)のみ。政府は低所得者層支援策の一環として18年度から月額2万円から4万円とする給付型の奨学金制度を本格導入する方針で、来年度にも一部の学生を対象に先行実施する。
また、黒岩祐治県知事も今月1日に開かれた県議会本会議で、県独自の給付型奨学金支給制度創設に関する代表質問に対し、「国の動向を見ながら県としての対応を検討したい」と答弁。県内自治体では藤沢市も来年4月から独自制度をスタートさせるなど拡充の取り組みが進んでいる。
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