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三浦版 公開:2017年1月27日 エリアトップへ

上宮田在住 加藤季雄さん・美重子さん「生涯ハーモニカとともに」 二人三脚で奏でる音色

社会

公開:2017年1月27日

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完成した手作りの曲集
完成した手作りの曲集

 郷愁を誘うどこかも切なげな音色、躍動感あふれる軽やかで明るい音色。聴く者の心を揺さぶるハーモニカの七色の響きに魅せられ、上宮田在住の加藤季雄(すえお)さんと美重子さん夫妻はユニットを組んで、演奏活動を行っている。

*  *  *

 「吹かない日はないくらい、ハーモニカのない生活は今では考えられないね」。まるでわが子のように愛おしげに楽器を触りながら笑顔で語る2人。実は季雄さん13歳、美重子さんは2歳の頃に病気と事故でそれぞれ視力を失い、見えていた時の記憶はほとんどない。当然、お互いの顔も分からないが目に映るもの以上に、奏で合う音が思いを雄弁に語ってくれるという。

 ハーモニカを最初に始めたのは季雄さん。今から15年ほど前、ラジオで偶然耳にしたハーモニカの音色に感動したことがきっかけだった。少年時代から好奇心が旺盛でギターや三味線、民謡などをたしなんでいたこともあって、飛びつくように習い始めた。練習は三浦から片道2時間近く離れた厚木市内のクラブへ。演奏方法によって変わる持ち方や吹き方は練習を繰り返して感覚を体に叩き込み、曲は耳で一つひとつ音を探し当てて暗譜する。人の2倍も3倍も手間と時間はかかるが、同時にその奥深さに魅了されていった。

 季雄さんの楽しげな姿に感化された美重子さんもハーモニカに興味を持ち、共通の趣味となって10年。「実は朝、(季雄さんが)散歩に出掛ける隙にどんなものかちょっと吹いたりして」と、こっそり拝借していた思い出を茶目っ気たっぷりに明かす。2人きりの時間が多いなか、家ではそこかしこからハーモニカのメロディーが響き渡り、気が付けライフワークになっていた。

 天気が良い日には近くの畑や三浦海岸に出掛け、虫や鳥の声、波音を感じながらの演奏を楽しむ。「たとえばカラスの鳴き声にあわせて『七つの子』を吹いたり。雨が降れば雨音を聞きながら吹いてみたり」

*  *  *

 2人はハーモニカデュオ「プップ」を結成し、老人ホームの慰問ボランティアやイベントのステージに立って、演奏を披露している。「普段、私たちは周りの人に支えてもらうことが多いので、その恩返しになればいいなと思って」と美重子さん。観客の表情こそ見えないが、メロディーに合わせて口ずさむ声や手拍子、演奏後の歓声などから喜ぶ姿がまぶたに浮かび、それこそが日々の原動力になっているという。

 また、多くの人にハーモニカに親しんでほしいとの思いで作り始めた曲集が、今月完成したばかり。雑音が入らないように深夜に少しずつ録りためて、2年がかりで出来上がった渾身の1枚だ。「浜辺の歌」「メダカの学校」「君は心の妻だから」など唱歌、童謡、歌謡曲を中心に31曲を収録した。アルバムを配った友人知人からは、まさに”息ぴったり”のおしどり夫婦のハーモニーと好評で、「セカンドアルバムも作りたい」と次作への意欲がみなぎる。

 「なせばなる、なさねばならぬ何事も。自立するためにこれで生きてきたの」と、自らの座右の銘を語る美重子さん。大事なのは悲観的にならず、まず挑戦してみること。料理も散歩もハーモニカもすべてが生きる糧となるからだ。二人三脚、夫婦の二重奏をこれからも響かせていく。

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