三浦消防署の新庁舎が県立三崎高校跡地に完成し、記念式典が先月30日に開かれた。吉田英男三浦市長や吉田雄人横須賀市長ら関係者約130人が出席し、新たな防災拠点の門出を祝った。今月1日からは横須賀市との消防広域化の運用がスタート。消防力や運営基盤の強化が図られ、さらなる住民サービスの向上をめざしたいとしている。
完成した新庁舎は地上4階建て、延床面積は約2743平方メートル。事業費は約10億円。1階には車庫や出場準備室のほか、AED講習、消防・防災啓発活動など市民利用を想定した多目的ルームやミニ消防車・腕用ポンプの展示、2階に倉庫・書庫、3階にトレーニングルームや通信室、事務室、4階に会議室や所長室などを設けている。また、庁舎の最上部にデジタルサイネージを設置し、消防や防災の情報をリアルタイムで発信していく。
旧三浦市消防庁舎は1969年、引橋分署は74年に建設。施設の老朽化や耐震性の観点から、市では2012年に建て替え事業を進めていた。吉田英男市長は式典で「新たな防災拠点として多くの市民から親しまれる安全安心を象徴する施設」と完成を祝った。
旧庁舎の跡地利用に関しては、現時点では未定としている。
行政負担が大幅減
広域化に伴い、すべての消防事務を横須賀市に委託。三浦市消防本部は廃止し、三浦商工会議所となりの三崎分署が出張所に改められ、1本部4消防署1分署11出張所体制となった。これにより災害現場への到着時間が短縮できるなど、地域消防力の向上が期待できるという。
以前は原則、各市域内で発生した災害は管轄内の消防組織が対応していたが、広域化により市域に関係なく統一的に出場するため、特に市境の地域では、約7分の短縮が見込まれ、迅速な消防・救急活動ができる。また、保有車両を一元化することで災害対応力が強化。様々な指令へ部隊を適切に出動させることができるという。
ほかにも人件費や整備費において財政運営の効率化にも寄与。約70人いた消防職員は横須賀市に移管され、施設・機材・車両の整備にかかるコストを圧縮。三浦市では20年間で約4億のコスト削減が見込めるとしている。
三浦・横須賀の両市間では、13年4月から119番通報の受付や消防車・救急車の出動、通信統制、情報伝達などの消防指令事務を、横須賀市消防局内に設置したセンターで共同管理。その後、葉山町も参加し、現在は2市1町で運用している。
業務の一元化における適正な人員配置やコスト、車両や機材などの設備に関する基本方針をまとめ、「広域消防運営計画」の策定を経て、15年11月、両市は消防広域化を正式に合意。協議会方式で指令センターの共同運用を行っている市町村が、広域化に移行するのは全国で初めての取り組みとなった。神奈川県では、広域化の機運が高い地域などが受けられる「消防広域化重点地域」に両市を指定。集中的に事業促進を図るため指導や財政的な支援が行われる。
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