シーボニアマリーナを運営する(株)リビエラリゾートは、東京海洋大学と共同で電池推進船「らいちょうS」の研究調査を行っている。県が進める薄膜太陽電池の普及拡大事業に2者が協力。昨年10月から小網代湾内でシャトルボートとして運航が始まり、将来的に漁船や次世代の水上交通としての実用化をめざしている。
「らいちょうS」は、東京海洋大学(東京都)が2011年に開発した世界初の急速充電対応型電池推進船(全長8・04m×全幅2・24m/定員8名)。燃料となるガソリンの代わりにバッテリーに蓄えた電力を動力源として使用しているため、排気ガスや油の臭い、二酸化炭素の発生抑止、騒音や振動の大幅な軽減に効果を発揮する。
また、推進力は従来のプロペラ式ではなく高圧の水流を噴射して前進するウォータージェット方式を採用。水深の浅い場所や水面に養殖ロープが張られた海域での航行も可能となるなど様々なメリットを有し、周辺環境への負荷が非常に少ない新たな船舶として研究が進められている。
薄型ソーラーパネルで自家発電
「らいちょうS」のもう1つの特徴は屋根に4枚設置された軽量薄型で塩害にも強いシート状のソーラーパネル(長さ4m・幅50cm・厚さ3㎜)だ。
これは建物の壁面や道路の法面など様々な場所で太陽光発電ができる薄膜太陽電池の用途拡大に取り組む神奈川県の事業の一環で、環境保全活動を続けるリビエラリゾートが海洋大と協力。単独での発電量は少ないため、おもにモニターやGPS端末の電力に使われているという。
昨年5月には、黒岩祐治県知事らを招いた進水式を実施。以降、地元漁協との連携を図りながら火曜日を除く平日に限り、マリーナと小網代の森の入り口の約1Kmを10分弱で結ぶシャトルボートとして無料で運航。実際に旅客を乗せた際のエネルギー消費などのデータ収集や使い勝手をフィードバックし、推進装置の研究や可能性調査に活かしている。今年3月までの半年間で約500人が乗船。スムーズな動きと静かな乗り心地に、乗客からは「鳥の鳴き声など自然の音が楽しめて良い」といった声が多く、評判は上々。同社の横川哲さんは「自然に優しい乗り物。新たなシーレーン(海上交通)の実現に役立てたら」と話し、本格導入に期待を寄せた。
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