三浦の散歩道〈第134回〉 みうら観光ボランティアガイド協会
「三浦市農協高円坊支店」のすじ向かいに屋根付きでブロックに囲まれた「六地蔵」が祀られています。いずれも、白い前垂れをつけ、赤い毛糸の帽子を付けています。
そもそも「お地蔵さま」とは、正しくは「地蔵菩薩」と呼ばれ、お釈迦さまが入滅されたのち、次代の弥勒(みろく)菩薩が出生されるまでの無仏の時代に出現され、六道に輪廻(りんね)(生死をくり返して永久に苦しむこと)して苦しむ衆生を救済して、延命をもたらす仏さまとして信仰されています。(以上、『仏尊の事典』より)
「十王信仰」で、お地蔵さまは閻魔(えんま)王の本身とされ、あの世とこの世の境である六道の入口にお地蔵さまは立っておられて、衆生を教化(きょうげ)(苦しむ人々を教え導き仏道に入らせること)すると考えられ、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人界、天道の六道で人々を救ってくださると言われています。そのお地蔵さまが民間信仰と結びついて道の辻に祀られるようになったということです。「六道地蔵」のお姿や持ちものによって六道の位置がわかると言われています。天上界のお地蔵さまは「宝珠と経巻」を持っておられるとのことです。確かめてみてはいかがでしょうか。
「六道地蔵」のお隣りに「庚申塔」が七基祀られています。一番古い塔で、「寛保元(1741)年造立の「青面金剛像」で「奉納庚申供養塔」との銘文があります。
この七基の中で特に目をひいたのは、笠付型で、正面に大きく「青面金剛」と深く刻字されており、右側面に、これも面いっぱいに「嘉永元年」と刻字されています。下の台座には「世話人新左ヱ門・講中清右門」と記されています。
他に自然石の「猿田彦大神」は年号は不詳です。中で一番新しいものは「明治二十九(1896)年の銘がある「猿田彦大神」と記された駒型の庚申塔です。
ここで注目したいのはなぜ「猿田彦大神」が庚申塔として祀られるのかと言うことです。この神は天孫降臨のとき、その道の露払いをしたということで、禍をはらう力が猿田彦大神にあるのではないかと思われたのでしょう。そうなると、この大神は「道の神」としての道祖神でもあるのです。さらに、この猿田彦大神は「大田神」とも呼ばれる豊作の神でもあると言われています。昔から「田の神」は山から降りてきて、田圃の耕作が済(す)めば再び山へ帰る神として信じられてきました。また、「猿」は「山の神」の化身として「山王」とも呼ばれるところから、「山の神」と「田の神」の二つの顔をもあらわしているところから豊作祈願の庚申講の神としても考えられたのでしょう。(以上、五来重著『石の宗教』によるものです。)
(つづく)
|
|
|
|
|
|