県立海洋科学高校(横須賀市長坂)の水泳部内に、このたび水中ホッケーチームが発足した。高校生によるチーム編成は国内で初めて。全日本3連覇を誇る水中ホッケー選手で同校教諭の荻原佑介さん(和田在住)の指導を受けながら、来月17日に千葉県で行われる「第15回水中ホッケー日本オープン大会」での初勝利をめざして練習に励んでいる。
9月に初陣「まず1勝」
イギリス発祥の水中ホッケーは、アイスホッケーと同様に2つのチームに分かれ、スティックを使ってプールの底に沈むパックをゴールへと運び、その得点を競う競技。陸上とは異なり、水の中を360度縦横無尽に動くことから「三次元スポーツ」とも称されている。
その歴史は60余年とまだ浅く、国内の競技人口は200〜300人。認知度は低く、練習環境に大きな制約があることなどから大学やスイミングクラブでのチームが主流で、神奈川県内での結成は今回が初めて。さらに高校生をプレーヤーとするチームは日本初だ。
メンバーは同校水泳部に所属する生徒10人。これまで取り組んできた競泳・水球と並行する形で、7月から本格的に活動を始めた。慣れないシュノーケルや足ヒレに苦戦しながらも、ドリブル・パスといった基礎や25mを無呼吸で泳ぐ潜水練習を行うほか、ミニゲームで実践を積んでいる。鈴木淳也さん(2年)は、「最初は息が苦しくてツラかったけど、点が決まると楽しくて」と魅力を笑顔で話す。競技の特性上、試合中は声によるコミュニケーションを取ることができないが、「部員が少ない分、日頃の練習から信頼関係を築けている」と胸を張る。
チームの初陣は、9月17日(日)に千葉で開かれる日本オープン大会。「まず1勝。でも、出場するからには優勝をめざして頑張りたい」と湯原龍之介さん(2年)は意気込みを見せた。
監督は日本王者の現役選手
今回の結成に尽力したのは、同部顧問の荻原佑介さん。荻原さんは大学在学中に水中ホッケーと出会い、教員となった今も選手として第一線で活躍している。先日開催された日本選手権では、優勝に大きく貢献。今年9月に行われるアジア大会の日本代表候補にも名を連ねている。
「生徒たちには様々な体験を通して、人生の視野を広げてほしい」。当初は部活の合間に楽しむ程度だったが、部員らの意欲の高まりにチーム結成を決めた。監督として伝えたいのはスポーツの楽しさだけでなく、「人と違うことは強みである」ということ。教養や経験を増やし、価値観を広げる機会を提供したいという。「その先でいずれ生徒たちと世界大会に出場できたら嬉しい」との青写真を描く。
また、めざすのは三浦半島から全国へ向けた競技の普及拡大だ。「水中ホッケーのもとはダイビング。海に囲まれ、愛好者が多い土地柄、きっかけさえあれば」と荻原さん。国内初の高校生チームが、機運の高まりにつながってほしいと期待を寄せた。
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