10月6日から洋裁やパッチワークなどの作品展を行う 青木 眞澄さん 上宮田在住
一針一針に真心込めて
○…「既製品とは違う、手づくりならではの温かみや素朴さを見てほしい」。個展を開くにあたり、作品に込めた思いを優しく語りかける。安さや手軽さが求められる大量生産・大量消費社会のなかにいるからこそ改めて伝えたい、細やかな手しごとの魅力。洋裁歴50余年、これまでのあゆみとともに広く発信する。「それはライフワーク。私の一生の仕事ですね」。しみじみと言葉を噛みしめた。
○…父のすすめで進学した目黒の短大。被服学科を専攻し、2年かけて洋裁を基礎から学んだ。教師陣の厳しい指導に次々と仲間たちが去るなか、自身は自宅のあった三崎から毎朝5時過ぎのバスに乗って往復5時間の道のりを通学。それも今では懐かしい思い出だ。学生時代の作品で記憶に残っているのは、卒業式の晴れ衣装として一から仕立てたテーラーカラーのスーツとコート。実物こそもう無いが、その時に感じた情熱と物づくりの楽しさはいつでも胸に蘇る。
○…短大卒業後は横須賀市内で服飾学校に勤め、今度は教える立場に。今も昔も指導者としてのモットーは「基礎を忠実に、個性を大切に」。現在は横須賀・三浦で6つの教室、約100人の生徒を受け持ち、多忙な日々を送っている。今回の個展も教え子たちたっての希望でようやく実現にこぎつけたといい、「生徒は宝物ですね」と感謝の念を口にし、喜びで顔をほころばせた。
○…もとはバラバラの布や糸。それを一針一針丁寧に縫い上げて、大きくしていく。次第に輪郭を成し、思い描いた形にたどり着いた時の喜びは何ものにも代えがたい。「『周りからはよくやるね』って言われるけれど、夢中になる時間、打ち込めることがあるって幸せ」。現在は洋裁に留まらず、パッチワーク、手織り絵、つるし雛などに挑戦。「新しいことを取り入れるから、毎日が勉強」と労作を愛おしそうに手にとり、笑ってみせた。
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