「海への恐怖、乗り越えて」 被災地の中学生がトライアスロンに挑戦
葉山町の一色海岸で18日、葉山トライアスロン協会(彦井浩孝会長)主催の「HAYAMANトライアスロン2011」が行われ、約180人が参加した。同大会には東日本大震災で被災した宮城県石巻市の中学3年生12人も参加。震災による津波の被害で海に対する恐怖感が残る中、海での競技に参加することで恐怖を克服しようと初めてのトライアスロンに挑んだ。
同大会は「トライアスロンを通じてチャレンジすることの大切さを知ってほしい」と昨年から開催。今年も一色海岸を舞台に秋晴れの下、オーシャンスイム100m、ボードパドル200m、ビーチラン2Kmの3種目を連続して行い、各参加者が完走を目指して競技に励んだ。
石巻から来た中学生らは同じ学習塾に通う生徒。葉山で幼稚園を運営する中尾薫さんが被災地支援で現地入りする中、同市で塾を主宰する八木純子さんと知り合い、大会出場が実現した。生徒らはいずれも震災による津波で被災し、自宅の損壊や避難所生活などの被害を受けたことから、いまだに海への恐怖感を拭いきれずにいたという。「震災で大変な思いをして、心に傷を負った子がたくさんいる。大会に挑戦して海への恐怖を乗り越えるきっかけになればと思って」と八木さん。
生徒らにとっては今年初めての海で大会前日には「やはり怖がっている子もいた」というが、当日は中高生・一般の部のリレーに出場し、見事完走を果たした。また幼児対象のビーチランの後には持参したクッキーを記念品として子どもたちに手渡す姿もあり、大会後はメンバーから一様に笑顔がこぼれた。
津波で自宅が流されてしまったという太田宏之くんは大会を振り返って「まだ津波の印象が残ってておっかなかったけど、みんながいたから完走できた。この夏の一番の思い出になった」と話した。また八木さんも「震災に直面して色んな人が私たちを助けてくれた。大会に出場できたのもその一つ。生徒たちにはそうした絆を感じ取ってくれれば」と話した。
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