▽来年1月10日告示、15日投開票の葉山町長選まであと1ヵ月と少しとなった。選挙の争点を検証する連載2回目。今回は各候補者が主張のひとつにあげると思われる行財政改革に焦点をあてる。
▽自治体の財政状況の指標のひとつに経常収支比率がある。葉山町では財政の柔軟性を示すこの比率が平成21年度ベースで県下33自治体で最悪の99・9%だった。9月に発表された22年度決算では99・2%とわずかながら改善したものの、依然として硬直化したまま。現状では改善の兆しは見られない。財政の硬直化は新たな設備投資や町民サービス向上の停滞を意味する。
▽言うまでもなく、財政健全化のためには歳入と歳出のバランスをとることが不可欠になる。葉山町はここ数年、人口が増加傾向にあるが、一方で町の収入となる町税は景気低迷の影響などから減少傾向にあり、約61臆円だった平成20年を境に、22年度決算では56億円、23年度試算では55億円程度まで落ち込む見込みだ。給与所得者の税収と固定資産税が主な財源となっている葉山町の町税が今後劇的に増加することは考えにくい。
▽そうした懐事情であるならば、無駄のそぎ落としを徹底した上で、どの事業に経費を充当するか節減するのかその配分を迫られることになる。現町政はこの4年間で、町の借金に相当する町債を10億円返済し、貯金にあたる基金も平成22年度決算では残高が切り崩し額を超えて10億円から11億円に増加した。しかしその裏では下水道を除く公共設備投資の停滞があったほか、歳出の3分の1を占める人件費についてはほとんどメスを入れてこなかった。特に人件費については議員報酬や職員給与を含めて、その適正を再度検証する必要がある。
▽行財政は自治体会計の仕組みが分かりづらいことから、あまり掘り下げたことを主張しても「票にならない」と選挙では美辞麗句が並べられがちだ。しかし、緊縮財政の葉山町においては財政をどう改善し、今後の対応策をどう打ち出すのかが重要な意味を占める。この財政問題について、各候補者がどんな主張を訴えるのか。その内容に注目したい。
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