▽1月15日投開票の葉山町長選まで残り1ヵ月を切った。選挙の争点を連載で検証する最終回。ごみ問題、財政問題に続き、今回は同町唯一の大型公共整備事業とも言える下水道事業に焦点をあてる。
▽葉山町は平成4年の都市計画決定以降、公共下水道の普及を目指して整備事業を進めてきた。下水道整備には県の認可が必要で、現在同町で認可されているのは市街化区域の一部350ha。これに対し、23年度末までに300ha程度の整備が完了する見込みだ。22年度末時点の下水道に接続可能件数は6590件で普及率は同年度末で約55・1%。これは県平均の95・8%を大きく下回っている。
▽現職の森英二町長は市街化調整区域になっている上山口や木古庭なども含め、全体で581haを整備する方針だが、町民を含む同事業の審議会では異論もでている。その主な理由は町が財政難であることによる。同事業は23年度当初予算で12億円を計上。一般会計からの繰り入れも毎年行っており、事業にかかる起債(借金)は22年度ベースで95億円にのぼる。こうした状況下「人口の少ない市街化調整区域まで拡大するのは事業効率が悪い。350haで中止し、計画を見直すべき」との声だ。一方で町側は「公共下水道の整備は費用対効果を検証した結果のベストな選択」と推進の立場を崩していない。
▽仮に計画を中止した場合、下水道整備が整っていない地域の下水処理は主に合併浄化槽で行うことになる。合併浄化槽は一部では「安価で工期も早い。良いものは浄化性能も下水道より上だ」という意見もある。しかし町の担当者は「何を持って安いとするかだ。点検などを含めれば総合的には下水道の方が安価」としている。また計画を続行した場合も課題は残る。現在市街化区域には下水道整備の費用として都市計画税が課せられているが、調整区域にはそれがない。続行した場合には税金の課す地域を見直す必要がある。
▽とどのつまり、計画を推進するか、中止して見直すのか、いずれの場合も課題は残る。財政状況と事業効率、実績と今後の方向性を検証した上で、候補者にはその指針と根拠を明確に示してほしい。
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