「いのちの森の会」の会長を務める 野口 宗一さん 逗子市桜山在住 70歳
”いのちの森”次世代へ
○…市内の小学校などに常緑広葉樹の森をつくろうと、市民の有志らが集まって5年前に発足した「いのちの森の会」。植樹や苗づくりなど、現在約20人の会員が、森の創造に向けた活動に取り組んでいる。09年の逗子小学校での植樹を皮切りに今年は久木小学校でも植樹をする予定。手探りで始めた活動も着実に歩みを続け、ようやく軌道にのってきた。
○…「ここ10年の間でもずいぶん緑が減った」。活動のきっかけは宅地開発が進む中、緑の保全を積極的にしなければと危機感を持ったことだった。「でも山の手入れを自分たちだけでするには限界がある」。思案の末にたどり着いたのがこれまで世界各国で数々の森をよみがえらせてきた植物生態学者の宮脇昭氏の提唱する森づくりだった。それはその土地本来ある木を中心に様々な樹種を混ぜて植樹することで「手をかけずに」維持できる森づくり。「これなら莫大な資金や労力なくして緑が守れる。宮脇流の森を作っていこう」と氏の門下生に指導を仰ぎながら研究と実践を繰り返した。
○…緑を守ること以外に「いのちの森」には重要な意味がある。それは地震や火事などの自然災害から街や人を守る機能。その土地本来の常緑広葉樹は根が深く水気もあるため、いざという時に津波や火の手から人を守ることができる。初めに逗子小を選んだのも海から近く、周囲に緑が少なかったから。「まだ森というには小さいけど、将来的には鎮守の森のように地域を守る森に育てば」
○…偶然にも取材した日は自身の誕生日。70歳の節目を迎え「じじいになったもんですよ」と軽快に笑う。会社員時代は地方を転々としたが、20年ほど前にようやく生まれ育った逗子に帰ってきた。「色々なとこを見てきたけど、日本で一番いいところは逗子ですね」。言葉の端々にあらわれる深い郷土愛。それこそが自身を活動に突き動かす一番の原動力に他ならない。
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