ネパールと日本との文化交流やこれまで数多くのチャリティ公演を行うバンスリ奏者 インドラ・グルンさん 葉山町長柄在住 47歳
母国との架け橋に
○…古来よりネパールで奏でられる竹笛、バンスリ。どこか素朴ながら、澄みきった音色は聴く者の心奥まで響き渡る。来日して25年。長野五輪での演奏やTV出演など、多方面でその「癒しの音」が注目をあびる一方、海外孤児や学校支援のチャリティ活動にも精力的に取り組んできた。活動の根底は、音楽を通じネパールと日本との「心」を繋ぐこと。「音楽だけでなく、自分の演奏が何かプラスになれば」。そんな思いがある。
○…ネパールの山岳民族、グルン族の生まれ。学校に通えず食事も満足にできない、貧しい幼少を過ごした。家族が多かったからかもしれない。「いつか自分の希望が叶ったら、得たものを皆で分け合いたい」。少年に芽生えた思いはその後人生の指針となる。13歳、ネパールの人気楽団「アンナプルナバンド」に入団すると、22歳まで己は一銭ももらわず、収益は全て学校運営や設立の資金として寄付。来日後も支援活動は続いた。年30回近いチャリティ出演をこなし、3・11後、知人が次々と国に帰る中、「音楽で恩返しを」と地元ミュージシャンらに声をかけ、被災地支援のコンサートを企画したのも自身だった。
○…2年前越してきた葉山を「お母さんのような場所」と表現する。「この辺の地域全部が自分の家のよう」。人々の距離感や温もりが、生まれ故郷の風土と時折重なる。そんな雰囲気を感じながらまちを散歩するのが好きで、森戸川の水の流れ、頬をそよぐ風、虫の鳴き声、感じる自然がそのまま曲のイメージになる。
○…地方での公演や長年の音楽活動で感じることがある。ネパールと日本では言葉も、宗教も、文化も違う。でもどちらも歌や踊りに人々の感情や願いを込める。根底は同じだ。今後はその共通項を繋ぎ、両国の橋渡しをするのが自身の役割と考える。「心が繋がる。そうすればみんな、家族になれるじゃないですか」。心の平和を願い、その想いを笛の音にのせていく。
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