小坪漁業協同組合組合長を務める 高橋 豊さん 逗子市小坪在住 71歳
慣習廃し、未来に種まき
○…解散か、合併か。自身が組合長に就いた5年前、高齢化に伴う組合員の減少で組織は存亡の危機にあった。とった策は漁業の世界では異例とも言える「公募」。それまで常識だった世襲と兼業の禁止を撤廃し、外への門戸を開いた。策は功を奏し、この5年間で新たに14人が”就漁”。若手の会社員や女性、新たな顔ぶれも加わり、組織は生まれ変わりつつある。
○…小坪で代々続く1本釣り漁師の家庭に生まれた。会社員を経て、漁師になったのは20代の半ば。父の仕事を見様見真似で必死に覚えた。悪戦苦闘の日々に「人知れずの苦労は多かった」が、漁がうまくいった時の喜びはひとしお。イナダの大群、抱えきれないほど大きな鯛やヒラメ…。大漁の思い出を振り返ると思わず表情がほころぶ。
○…漁師にとって海は畑。「この”土地”はわきが良くてものが良い。これから旬の天然ワカメなんて世界一の味なんだから」。陸では、市内行事での「さざえご飯」の販売や、まちの新たな名物として期待のかかる「アカモク」の活用などにも力を注ぐ。漁獲高の減少もあり、魚が店頭に並ぶ機会は少ないが、漁師から直接購入することもできるそう。「やっぱり地産池消。逗子の人に地元の味を知ってほしい」。取りまく環境は厳しいができることを着実に。「まずは気軽に浜に遊びにきてよ」と微笑んだ。
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