かつて逗子海岸を臨み、地域のランドマークとして親しまれていた「逗子なぎさホテル」で、皇族が訪れた際にのみ供されていた特製カレーをこのほど、逗子在住の内田こずえさんがレトルトで復刻させた。料理長を務めていた宮内蓮三さん(71)のレシピを元に数年をかけて商品化。5日から逗子市内のスーパーや小売店で販売している。
逗子の新たな土産物に
同ホテルは1925(大正15)年に創業。日本初のリゾートホテルとして89(平成元)年に取り壊されるまで皇族の休養施設や貴賓客のもてなしなどに利用され、まちのシンボルとして市民にも広く親しまれた。
今回発売されたのは、ホテルに皇室が訪れたときだけ提供していたというマレー風チキンカレー。蓮三さんの父で初代料理長の故・矢太郎さんがカレー好きとして知られた今上天皇のために考案したもので、訪れる宮家の舌を楽しませていたという。
蓮三さんが料理長を引き継いでからも「裏メニュー」として秘伝のレシピを守り繋いできた。天皇陛下も皇太子だったころ、ホテルのカレーをこよなく愛していたといい、「お見えになると決まって召し上がっていて、おかわりをされることもあった」と宮内さんは当時を懐かしむ。
商品化のきっかけは、まちおこしの市民団体代表を務める内田さんがこの話を人づてに聞きつけて。「なぎさホテルは皆に愛された特別なホテル。その物語をより多くの人に伝えたい」と宮内さんに協力をあおいだ。宮内さんも「自分が死ねばなくなってしまう。地域の活性化に役立ててほしい」と応え、試行錯誤を繰り返し約3年の歳月をかけて商品化にこぎつけた。「ホテルの思い出がカレーとともに皆さんの心に残ってくれれば」と宮内さん。内田さんは「逗子の新たな土産ものとして今後根付いてほしい」と期待を込めた。
「逗子なぎさホテルカレー」は1パック630円(税込)。市内の小売店など約10店舗で販売しており、今後も随時、販路を広げていく予定だ。
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