全国里親会の会長を務める 星野 崇さん 葉山町堀内在住 67歳
里子の姿見守り続け
○…何らかの事情で親元を離れることを余儀なくされ、施設や他の家庭で暮らす子どもたち。全国の4万人のうち、およそ5千人の里子の受け皿となっているのが里親の存在だ。全国66の里親会を取りまとめ、子育て支援の調査研究や国との調整を行う全国里親会の代表。自身も里親として多くの子を育ててきた傍ら、里子の置かれている実情を現場から見守り続けている。
○…経済的事情や両親の離婚。子どもが育てられなくなった家庭の理由は様々だが、近年深刻化しているのは虐待の急増という。「公式データでは全体の3割程度ですが、現場感覚では7割近くが虐待を受けている」。他の事由と重なったり摩り替わったりすることもあるため、虐待の実態は表向きの数字に表れづらいというのが自身の見解だ。問題なのは、そうした子たちと自分たちがどう接するか。「幼いときに虐待を受けた子は、普通と価値観がまるで違う。例えば暴力を受けた子は『自分が悪い子だから殴られる=暴力は正義』と思い込んでしまう。そうした価値観を後から変えるのは至難の技」と自身も試行錯誤した経験を振り返る。
○…子どもに恵まれず、里親に名乗り出たのは42歳のとき。「最初は子どもがいた方が楽しいかなくらいの気持ちだった」と語るが、現在まで15人もの子を迎え入れてきた。それだけに接し方も十色あると知った。時には自宅の猫の可愛がり方を通じて「愛情」や「可愛がること」を伝えることもある。「自分が伝える側と思っていましたが、逆に子どもたちから色々と教えられました」と朗らかに笑う。
○…「『三つ子の魂百まで』は神話ではないですよ」。取材の中、ぽつりと呟いた。これまで日の当たらない現実を見続けてきてきたからそう思う。家族構成や地域社会の変化、夫婦の共働き。子育てを取り巻く環境は確かに変わった。しかし思わずにいられない。「子育てには、心を注がないと」。語る言葉に力が込もった。
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