自らが見た夢を絵にする一風変わった画風で作品づくりに取り組む女性が桜山にいる。画家の吉井千裕さん(36)は美術館でスタッフとして働きながら長年 作品を描き溜めてきた。あす16日(土)から「ギャラリー時舟」(横須賀市東浦賀)で開く個展「大和のヒトの夢」では、およそ20点を通じてそのおどろお どろしくも摩訶不思議な世界を披露する。
学生時代はサッカーやソフトボールなどに熱中し、スポーツマンとして鳴らした吉井さん。絵を始めたのはイギリスに留学していた19歳のとき。毎晩のように見ていた奇妙な夢をスケッチブックに描きとめたのがきっかけだった。「子どものころから怖くて不思議な夢を何度も見ていて、抱え込むのが気持ち悪くて。それを絵にし始めたんです」
「夢日記」としてスケッチブックや不要なプリントの裏などに描いた絵やメモ書きは数百枚にも及ぶ。奇妙、とは例えばこんな具合だ。自分の部屋の中で、真っ二つに割れた地球の片側に座っている。窓の外は普段の景色だが、片側は無限の宇宙。そこはだんだんと傾きはじめ、とうとう地球の上から落ちてしまう。辿り着いた先は学校の芝生の上で、裸足のまま慌てて家に帰る―。またある時は蜘蛛と亀が合わさった生き物がトイレの壁中に伝っていたり、核爆弾入りの赤い風船で呼吸困難になったり。「泣きながら目を覚ますこともよくあって。強迫観念が強いのかもしれません」
夢という主観的題材のため人目にすることにためらいもあったが、進路を考えていた時分、教諭に相談すると「絵を専攻したらどうか」と勧められ、美術の専門学校に通った後、画家としての活動を始めた。作品はそのほとんどにホラー的な要素をはらんでいるが、不思議と見る者を惹きつける独特の雰囲気がある。最近では作品展に訪れる来場者から「実は私も怖い夢を見る」と共感を得られることも増えたという。「良くも悪くも感動してもらえるのは刺激になって有難い。ぜひ足を運んでほしい」と吉井さんは話している。
会期は22日(金)まで(19日は休廊)。時間は午前11時から午後5時30分。アクセスは京急浦賀駅から徒歩13分。問合せは時舟【電話】046・876・8101
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