純正律が織り成すハーモニー 男声合唱団「シャンティ湘南」
限りなく透明な歌声が稽古場に響く――。
一般的な音階として知られる平均律ではなく、「純正律」という音階で合唱に取り組む団体がある。男声合唱団「シャンティ湘南」は2007年の発足以来、この音階に特化して練習に励む(=写真)。
「皆さん歌うことに集中しないで。歌は20%でいい。80%は周りの声に耳を傾けて」。年明け、逗子の稽古場で指揮者の阿部俊さんの指導に熱がこもる。近代に確立され、現在はほとんどの音楽の基礎となっている平均律だが、ピアノなどで同じ音を異なる音階で鳴らした場合、厳密には同一ではないという。1オクターブを均等分割した平均律は、周波数にわずかなズレがあるため、和音などを奏でた場合、微妙な「うなり」が生まれる。この誤差をなくし、音の調和を重視して構成されるのが純正律だ。
練習方法も独特で、「絶対に原曲を聴くな。一歩外に出れば平均律の世界。ここでの音を覚えて」と音を「聴く」ことを徹底する。「耳で聴いて合わせる音楽。純正律による歌声は平均律にはない透明感があります」。阿部さんは中学生の時、純正律に魅せられたが、学べる場所がなかったため、研究を重ねながら独学で習得。大学2年で指揮した東京都主催の合唱祭で賞賛を得た。「この音楽の魅力を広く伝えたい」と同団を立ち上げ、今も普及に力を注ぐ。入団して1年目の渡辺道雄さんも「自分の声が聞こえなくなるほど周りと溶け合う。これがハーモニーの感覚なのかと分かるようになってきた」と魅力を話す。
メンバーは阿部さん含め17人。現在は2月22日(土)に逗子文化プラザで行われる定期演奏会に向けて市内会館などで練習を重ねている。
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