藤沢・江の島海水浴場では昨年から自主ルールを制定し、海の家の「クラブ形態営業」や「音楽放送」を禁止して健全化を図っている。2年目となる今夏は、海水浴場に防犯カメラを設置して治安改善の取り組みを続ける一方で、BGM用のスピーカー使用を条件付きで認めるなど、状況に合わせた規制のあり方を模索している。
自主ルール制定の背景には「近隣住民は夏の間、犬の散歩コースを変えて海を避ける」ともいわれた治安と風紀の悪化がある。ルールの徹底により、江の島海水浴場協同組合は「家族連れが増え、健全化できた」と手応えを感じている。
今夏にはルールが緩和され、組合が貸与または審査したスピーカーに限り、海の家でBGMを流すことが認められた。同時に、西浜と東浜に計7基の防犯カメラを新たに設置。「自主ルール・自主警備で犯罪抑止」をスローガンに、治安と風紀、イメージ回復のため取り組みを続けている。
実質的な音楽「解禁」となったが、来場者の反応は様々。東京から家族5人で西浜を訪れた男性は「この程度の音楽なら気にならない。子ども連れでも遊びやすいし、来年もまた来たい」、横浜から友人と5人で来た20代の男性は「静かすぎて正直なところ『シケた海』だと思った。次は他市の海水浴場に行こうと思う」と話した。
自主ルール制定後、市内海水浴場全体の来場客数は減少。約375万人(12年)から約298万人(13年)と約77万人減少し、14年も7月末の段階で約66万人と、前年を約19万人下回っている。
一方で、海の家の経営者らは苦しい状況を吐露する。アルコール類などの消費も多い若者客の減少は、海の家の収入への影響が大きく、ある事業者は「13年の売り上げは前年の1割程度、今年も12年以前と比べれば半分以下」と話す。
とはいえ、再び治安が悪化すれば海そのものの風評を落としかねず、西浜の海の家「マルハチビーチハウス」の齋藤敏之マネージャーは「経営が厳しくても、『クラブ化』状態に戻りたいとは思わない」と話した。同海水浴場では地域経済と健全化の両立のため、継続的な「自助努力」を続けていく方針だ。(了)
《この連載は佐藤弦也、井方照雄、佐藤順真が担当しました》
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