8月7日・12日・14日の3日間、逗子海岸で三線(さんしん)と歌で生演奏を行った 東風平(こちひら)高根(たかね)さん 逗子市池子在住 43歳
波音とともに音楽を
○…昼下がりの砂浜に三線の音色と耳馴染みのある沖縄の歌が響いていた。観客は気持ちよさそうに体を揺らしたり、手拍子を打ったり。全国的にも厳しい条例が施行された今夏の逗子海岸。音楽のない静かな夏が過ぎていく中、地元市議からの打診を受けて生演奏を敢行し”規制の海”に一石を投じた。「抗議なんて大それたものじゃない。ただ全てを規制するのではなく、波音に合う音楽もあるんだと、提示したかった」
○…沖縄県の生まれ。20歳のときにブラウン管に映る華やかな世界に憧れ、親の猛反対を押し切って故郷を飛び出した。「ろくに歌すら歌えなかったのに東京へ行ったらミュージシャンになれると思っていた。今思えば勢いだけでしたね」と苦笑い。苦節を重ね34歳でデビュー。三線やギターを手に各地を飛び回り、今も全国47都道府県を回るツアーの真っ最中だ。最近は地方の沖縄料理店などから声がかかることも多い。
○…ゼロか百かの一律的な規制はいわば”劇薬”で健全化を見込める反面、海の文化的要素も排してしまいかねないと賛否両論がある。自身も海の家の「クラブ化」や若者の乱痴気騒ぎには無論反対の立場。だが音楽=禁止という構図にはどうしても違和感が残る。「音楽が悪ではないはず。海に合う心地よい響きや癒し。そういういい部分まで根こそぎ刈られてしまうのはしのびない」。音楽を糧に生き、その素晴らしさが身に染みているからこそ、思いが口をつく。
○…逗子に暮らし早十数年。ツアーから戻り、駅を降りると「帰ってきた」と安息を感じる第二の故郷になった。「自分にとって逗子は最高のホームグラウンド。夕暮れの逗子海岸は特にお気に入り」と笑みを浮かべる。静かな夏も間もなく終わりを迎える。自分の思いがどれだけの人に届いたかは分からないが「きっと、もっといい方法があるはず」。願いを来夏に託し、視線を海に投げかけた。
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