認定こども園化に懸念の声も私立幼稚園
2015年度から全国的に始まる「子ども・子育て支援制度」について、逗子市・葉山町にある私立幼稚園は来年度新制度への移行を見送る方針であることが分かった。待機児童解消などを目的に現在国が普及を進めるが、補助基準(公定価格)を始め、不透明な点が多いことが主な要因で、全私立幼稚園が現行制度を維持するという。
新制度は、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」の普及拡大などにより、地域の子育て支援を拡充しようという取り組み。現行では市町所管の保育所と県所管の幼稚園は補助金制度の仕組みが異なるが、移行後はこれが一本化される。
新制度移行にともなって幼稚園は、【1】幼保連携型認定こども園【2】幼稚園型認定こども園【3】認定給付型幼稚園【4】現行通りの幼稚園―のいずれかを選択する。現在逗子市と葉山町にはそれぞれ私立幼稚園が5園あるが、両市町が今月に入り各園に意向調査をしたところ、【1】〜【3】いずれの新制度へ移行する幼稚園はなかったという。市町の担当者は「制度に不明確な部分が多く、事業者が来年度の移行に踏み切れなかったのでは」とみる。
不明確、とは例えば財政措置についてだ。国は新制度実施に際して、補助費として消費増税(10%)の増収分から「毎年7千億程度」を見込むが、総額確保は17年度以降。15、16年度は予算編成の中で決めていくとされている。事業者から「見通しがつかない上、収入が今よりも減るのでは」と不安視する声も少なくない。こうした背景から横浜市では、国の補助基準を先行して取り入れ、独自助成する方針を固めているが、葉山町の担当者は「政令市ならまだしも一般市町村では今の段階で上乗せの補助費を予算化するのは難しい」と内情を明かす。
「資格返上」も足かせに
認定こども園の普及は新制度の目玉の一つ。だが特に【1】の場合、児童福祉施設の機能を付加するための施設整備や働く職員に新たに資格が求められるなど転換にかかる負担は少なくない。保護者への入念な周知も必要で「幼保連携型はハードルが高い」(幼稚園関係者)。「今まで培ってきた幼稚園の独自性が失われないか」との声もある。さらに既に運営している全国の認定こども園で補助金減額を懸念して「資格返上」の動きがあることも、移行の妨げになっているとみられる。
認定こども園への移行について園長の一人は「リスクを負って移行するよりも、今の私学助成を受けている方が現段階では賢明。移行するにしても、冷静に動向を見守ってからでも遅くはない」と話した。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|