田越川に生息する鳥を撮り続けているアマチュアカメラマン 小林 宏一郎さん 逗子市池子在住 76歳
自然の魅力、伝えたい
○…水辺で羽を休めるカワセミ、くちばしで魚を捕えるカワウ、爪で頭をかくコサギ――。自身がファインダー越しに切り取る1枚は時に躍動感激しく、時に愛らしい鳥たちの仕草を浮かび上がらせる。逗子の市街地を流れる田越川に生息する鳥を写真に収め続けておよそ8年。これまで撮影した種類は60種類以上にものぼる。
○…「身近な川にもまるで図鑑のように、たくさんの生き物がいるんですよ」。川の魅力について語ると自然と笑みが浮かぶ。自称、「田越川大好き人間」。定年後に趣味でカメラを始めたところ、日頃見落としてしまう何気ない景色の中にも、目を凝らせば鳥や虫、木々など四季折々の息遣いが感じられることに気が付いた。「今日はどんな出会いがあるのか」と心を弾ませながら、今も週に4日ほどは自宅から愛用の一眼レフを片手に田越川沿いをのんびりと歩く。「辛抱強く待っていると時々鳥が狙ったかのように餌をとったり、ホバリングしてくれたり『気持ちが通じる』ことがある。そういう瞬間が面白い」
○…東京に生まれ、戦後は父の生家がある長野に移り住んだ。小学生から中学生まで、遊び場は常に周囲を取り巻く雄大な自然。学校が終われば、夏は川で泳いだり冬はスキーをしたり。「今は遊ぶものがたくさんあって自然との接点が少なくなっている気がする。子どもたちにはもっと身近な自然の楽しさに触れてほしい」。自然の魅力を次世代へ――。毎年、逗子の子どもフェスティバルで作品を展示しているのもそんな思いからだ。
○…4度目の出展となる今年は市内在住の写真家、磯貝高弘氏と2人展を開催する。テーマは「かわいい野生の生きものたち」。逗子の森林と田越川水系を生活の糧としている鳥や昆虫の姿を一堂に紹介する。「作品を通して、小さくても必死に生きる命の尊さ、自然と共生することの重要性が少しでも伝えられたら」
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