東日本大震災から今年5年目を迎えるにあたり、逗子市出身の2人組音楽ユニット「NiM2」(エヌアイエムツー)が被災地へのエールを込めた「『共に生きる』夢」を作詞・作曲した。来月逗子で行われる追悼行事で初披露する予定で、歌を通じて東北に元気を届ける。寄贈品を送る計画もあり、その支援金集めにも役立てるという。
「明日を信じて前へと進む」「幸せはやってくる」「決して一人じゃないから」――。温かみあるメロディーにのせ、語りかけるように前向きな言葉が並ぶ。
「NiM2」は久木中学校の同級生だったNAOYUKIさん(22)とMASAさん(同)によるボーカルユニット。結成3年目で現在は市内のイベントなどでライブ活動を行っている。
2人は昨年10月、逗子の市民ボランティアとともに岩手県陸前高田市へ。仮設住宅で暮らす人々を元気づけようと無料で音楽ライブを披露するなどした。「聴きにきてくれた人たちが手拍子をしたり、カバー曲を一緒に口ずさんでくれたり。辛いはずなのに、笑顔で迎えてくれたのが嬉しかった」とNAOYUKIさん。同市では、津波の跡や瓦解した公共施設の跡など当時の爪痕が今なお残っている場所もあり、「実際目にするのは初めてでショックだった」とも振り返る。
少しでも復興の力になれないか。その思いを抱えていた折、毎年震災があった日に市内で追悼行事と支援活動を行っている「3・11ALL=逗子Movement協議会」(AZM)の代表を務めないかとの話が舞い込んだ。「自分たちはミュージシャン。ならば音楽で」と行事に合わせて歌の制作に着手。2人が感じた復興への思いを素直にしたためた。
安否確認の木札寄贈を
歌を通じて特に伝えたかったのは、被災地に暮らす人々に向けた「一人じゃない」というメッセージだ。陸前高田市では防波堤や高台造成など復興計画が進む。ただ現状仮設住宅に暮らす人々が今後転居する際、築かれたコミュニティーが崩れることが懸念されており、孤独感を抱える人々に自分たちが繋がっていることを伝えたかった。「震災から5年が経ち、被災地から遠い場所では記憶の風化が進んでいる。自分たちの歌で被災地と逗子とを繋ぎ留められたら」とMASAさんは話す。
AZMは、これまで雇用創出のための食堂建設や津波の教訓を後世に伝える石碑を寄贈するなどしてきた。今年は仮設住宅に住む人同士が安否を確認し合うことができる木札の寄贈を予定しており、3月11日(金)にJR逗子駅前などに献花台を設置し、支援金を募る。
2人は当日、亀岡八幡宮で行われるステージイベントにも出演し、「『共に生きる』夢」ほか5曲を披露する予定。さらにCDを千枚制作し、会場で500円以上の支援金を寄付した人に無料配布するという。2人は「皆さんに今一度被災地に思いをはせていただき、逗子との懸け橋となるような1日になれば」と話した。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|