随想集「山の途中で」を上梓した 須田 漢一さん 逗子市沼間在住 77歳
自然の営みに思い馳せ
○…ペンと手帳を携え野山を歩く。丹沢や奥多摩、遠くは屋久島や南アルプスまで。先は急がず、2時間の山行を時にはゆっくり倍以上の時間をかけて。老木や動植物、石碑などを目にしては足を止め、徒然に感じたことを書きとめていく。会社を定年退職後、山登りの傍ら20年来ハイキング雑誌に投稿し、掲載された作品をこのほど随想集という形でまとめた。「なかなかいいものが出来たと思う」と百作近くを収めた労作を手に笑みを浮かべる。
○…山頂からの景色や展望で得られる感動は山登りの醍醐味に違いないが、創作を駆り立てられるのは、むしろ自然の営みにある身近な風景。道中の古木一つをとっても蔓のように曲がりくねったり、割けてもなお伸びようとしていたり、その表情は様々だ。「強風や雪にも負けず逞しく生きていて、まるで人生のよう。自然は色々なことを教えてくれる」。喜寿を迎えても人生は今なお途上。随想集の題名を「山の途中で」としたのもそんな理由からだ。
○…読書が好きだった学生時代。高校に入学してからは俳句や詩も趣味で嗜んだ。「工業高校だったんだけど勉強が嫌でね。家に帰ると本を読んでばかりいた」。在学時に詩や標語の公募にも投稿するようになり、出版社のコンクールで「フクロウ」を題材にした作品が採用されたこともある。以来創作はライフワーク。今も枕元には紙とペンを置き、浮かんでくる言葉を日ごと書き溜めている。
○…遠方への山登りは現在小休止中。最近はもっぱら三浦や横須賀などに足を運んで自然観察をしたり、博物館で地質や地層の研究をしたり。実は次作に向けた研究の一環で、題名もすでに頭の中では決まっているとか。「三浦半島の自然を題材にした『森と海辺と台地から』。時期は未定ですが、2年くらい先には形にしたい」。さらに次々作の構想もあり、意欲は尽きない。「ボケないように長生きしなきゃね」とからから笑った。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|