小坪漁業協同組合員で、14日に行われた「ワカメ収穫体験」を発案した 座間 太一さん 逗子市逗子在住 51歳
新しいこと貪欲に
○…自らにとってシニア層は”人財”だ。考えたのは、逗子唯一の一次産業を広く市民に知ってもらうと同時に、実際に漁を体験してもらうことでその担い手を増やすこと。狙いはぴたりと的中。ワカメの収穫体験に参加した人の中から早速、関心を示す人が現れた。「逗子には元気なシニア層が多い。現場を手伝ってもらえば漁業の活性化になるし、参加者同士の輪も広がる」
○…5年前、組合の一般公募に応募し、漁師に。一方、津久井で正組合員の資格を持つ農家でもある。だが、本業は逗子でイタリア料理店「ラ・ヴェルデ」を営むオーナーシェフ。食材の生産から調理までを手掛ける、業界でも異色の存在だ。早朝の漁が一段落すると店に戻り、厨房を切り盛りする。ランチが終われば畑仕事をし、また店に。働き通しが辛くないかの問いには「全く苦にならない」とさらり。あすは海で何を獲ろうか。野菜は何を収穫しようか―。それを考えるだけで胸がはずむ。「運動会前の子どもと同じ。僕にとって料理以外は遊んでいるようなものだから」と目を輝かせる。
○…奔放な気質が、異国の地でもよく馴染んだ。調理学校を卒業後、19歳で単身イタリアへ。血気盛んで働いた店や住まいを追い出され、車中生活を送ったこともあるが不思議と辛いとは感じなかった。土産物店で営業マンとして勤務する傍ら指折りの名店を食べ歩き、イタリア料理の真髄を舌で覚えたことも。当時の記憶は今でも色褪せない。
○…新しいことや面白いことに貪欲な発想は周囲にも伝播する。漁師になって間もなく始めたワカメのつかみ取りは、今や組合や観光協会を巻き込んだ一大イベントに成長した。「良い意味で進化しないとね。来てくれた人にそれを実感させる自信はある」。最近は小坪産の海藻、アカモクを使って特産品を作る計画も進行中だ。「日常使いしてもらえて美味しくて、逗子と言えばこれと言えるものが作れたら」。アイデアは尽きない。
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