近年個体数が増加し、逗子海岸などで「漁場荒らし」の一因となっているウニを駆除する取り組みが4月28日(日)、同海岸で行われる。小坪漁業協同組合と逗子市観光協会が初めて企画。参加者に磯遊びをしてもらいながら、海の厄介者を駆除する一石二鳥の取り組みで、今回の開催結果を踏まえながら今後同様の企画を模索していくという。
逗子海岸でウニ採り
同組合によると、ここ10数年来でウニの個体数が急増。かつては「数える程度」だったが現在は干潮時になるといたるところに見られるようになったという。
厄介者とされる所以は、ウニがアワビやトコブシが生息する「カジメ」という海藻を餌としていることにある。数が増えるとカジメが減り、本来磯で採れるはずの貝類が採れなくなる。放っておくと磯に居座り続けながら海藻を食べ尽してしまう恐れもあるため、「磯荒れ」を招くのではないかと地元漁師の間で危機感が高まっていた。生息するのは主に食用にされる「ムラサキウニ」だが、商品として捕獲しようにも「北海道などの産地と比べて身が細い」上に、加工する手間が対価に見合わないとあって、悩みの種だった。
さらに海岸では漁業権が設定されているため、一般市民は指定された貝や海藻などの水産物を採ることはできない。組合関係者は「昔は漁師でなくても磯でウニを採ったりしたものだが、それが繁殖の抑止にもなっていたのかもしれない」と漏らす。
今回の取り組みはそうした実情を踏まえた上で、市観光協会が企画。「逗子海岸磯遊び&漁場を守るためのウニとり」と題し、市民に参加を呼びかけた。同協会によると市民からの反応は上々で、10日から募集を始めたが100人の定員は17日現在ですでに満員状態。当日、参加者らは葉山しおさい博物館元館長の指導を受けた上で同海岸「不如帰の碑」付近でウニ採りをしながら磯遊びに興じる。今回は特例として、採ったウニは参加者の意向で持って帰ることもできるという。
同組合では今回の開催結果を踏まえた上で、今後同様の企画を開催するか検討する方針。関係者は「今回の企画が磯の生態系を戻すきっかけになれば」と期待を寄せた。
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