本紙では2017年を迎えるにあたり、山梨崇仁葉山町長に単独インタビューを行った。現職町議の覚せい剤事件で揺れた昨年を振り返るとともに施策ごとの今年の展望を語ってもらった。
(聞き手=本紙編集長 佐藤弦也)
――まず昨年を振り返って。どんな1年でしたか。
「全国的に報じられる事件が町内で度々あり、葉山の名前や誇りが揺るがされる年だったと言わざるを得ないと思います。ただ、そうした苦境の中でも町に住む皆さんが前を向いて頑張ろうという、結束力を再認識できた年でもありました」
――その中でも元町議の覚せい剤使用事件については町に衝撃が走りました。
「本当に残念で、怒りすら覚えました。ただ、議会の問題とはいえ、関連性の強い行政としては事件に動じることなく、しっかりと仕事を果たさなくてはいけないと考えました」
――復職への可能性が今なお残されています。事件をめぐる心境は。
「あくまで個人的な見解ですが、我々(首長・議員)は町民の付託を受けた公職者。社会全体に不信や不安を与えた時点で、たとえ本人に職務を続ける意志があったとしても、一度速やかに職位から退くべきだったと考えます。私にはいまだに理解ができません」
―来年度から逗子市との可燃ごみ処理の共同化が始まります。
「ごみ問題については処理広域化の検討に始まり、前町政からは行政間の訴訟問題、さらに町の焼却炉が止まるといった紆余曲折がありました。私の代になって、ようやく次の一歩に向けた兆しが見えてきたところです。これも一重にごみの排出抑制や分別に尽力してくれた町民皆さんあってこそ。今後は葉山町が受け入れる植木剪定枝とし尿、また逗子市に担ってもらう容器包装プラスチックについても次のステップに向けて協議を進めていきます」
――ダイオキシン問題で稼働停止になったままの町有の焼却炉の見通しは。
「今後は国や県の支援を受けて炉を解体することになります。その基礎となるものを来年度、ごみ処理広域化計画として県に提出する予定です。早ければ2018年度には方向性やスケジュールを策定し、お示しできると思います」
――小中学校6校の給食を一括調理する給食センターの建設に目途がつきました。
「現状見通しがついたのは建設予定地の地質調査や測量についてです。具体的な施設の方向性についてはこれから本格的な議論が始まります。食の安全や地産地消、食育を含めて給食には時代に即したあり方が必要です。ただセンター化に向けては不安を感じている人もいらっしゃいますので、方向性に関する議論だけではなく、何のための施設なのか、今後も丁寧に説明する機会を設けていかなければいけないと思っています」
――中学校の完全給食導入も大きな転換です。
「中学生は育ち盛りの大事な時期。しっかりと栄養管理された食事も必要で、他の自治体でも様々な取り組みが進められています。また女性の社会進出にともなう社会の要求とも言え、大切なことだと思っています」
――昨年9月に葉山ステーションという新しい商業施設ができました。期待感は。
「葉山町の玄関口に大きな商業拠点ができたことは南郷地区だけでなく、葉山全体の活性化に繋がると大いに期待しています。また地元漁協や農協も出品しており、市場機能にともなう一次産業の活性化という意味でも突破口になると感じています」
――東京五輪の開催が3年後に控えています。そこに向けた町としての動きは。
「昨年は外国人サミットの開催や外国語に精通した方にボランティア登録をしていただくなど町としても着々と準備を進めているところです。また『日本ヨット発祥の地』として町民皆さんにヨットに触れていただく体験会を昨年は4回開くことができました。五輪は対外的に葉山を世界にアピールする絶好の機会ですから、今後はSNSや動画なども活用しながら葉山のブランド価値を高めていきたいと考えています」
――来年度の重要施策やテーマを教えてください。
「予算面では特にテーマは設けませんが、防災やクリーンセンター、様々な分野で原動力となる”職員力”を高めていきたい。また五輪を機にインバウンドを含めて『葉山ファン』を増やしていく、そのために『強みを伸ばす挑戦』が大きなテーマだと思っています」
――最後に町民に向けたメッセージを。
「私事ですが、この仕事を預かって5年が経ち、40歳を迎える年になりました。若さに経験を加えて心新たに、皆さんの期待や信頼にしっかりと応えることのできる行政運営をお約束します。より良い葉山を、ともに作っていきましょう」
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