難病のパーキンソン病を患いながらも、北岳登山に挑み続ける塩沢功さん(64)が9月15日、200回目の登頂に成功した。診断を受けて8年、病の進行や年齢による体力の衰えを感じながらの挑戦だった。
北岳(南アルプス市)は、標高3193mで富士山に次ぐ日本第2の高峰。塩沢さんは44歳の時の初登山以来、繰り返し山頂を目指し北岳に挑戦し続けてきた。
ところが2001年頃から手の震えや疲労感などの不調を感じ始め、04年56歳でパーキンソン病の診断を受けた。「もう登山ができなくなるのか」とショックを受けたが、投薬治療が功を奏し症状が安定。半年ほどで登山を再開することができた。その後も医師の指導を受けながら北岳に登り続け、05年に100回目の登頂に成功。「70歳までに200回」を目標に、登山シーズンが訪れると毎週のように北岳に挑んできた。
塩沢さんは「今は良い状態で安定している。健康管理や体力維持も登山のモチベーションで、登っている時の方が調子いい」と語る。
パーキンソン病は手足の震えや動作の不自由さなどの症状を持ち、完治の難しい病気。症状は個々で異なり、投薬などの治療の効果も個人差がある。
「一山百楽」の魅力
4年前に市職員を定年退職。現在は再任用職員として市土木維持課に勤める。難病を抱えながら仕事と登山を両立してきた。「登れる限り、一生北岳に登り続けたい」と語る塩沢さん。
200回登頂達成後の9月22日には、201回目の登山に成功。近年、一山百楽という言葉を強く感じると話す。「山頂直前では富士山と北岳という全国一、二の雄大な頂が一望でき、植物は登るたびに力強い生長を見せる。北岳の魅力はあまりにも偉大」と、ひとつの山が見せる様々な魅力を追って、これからも北岳に登り続ける予定だ。
大きな目標として300回は意識するも、今後は「回数にこだわることなく、普通の登山者として登り続けたい」という。200回登頂を前に購入した一眼レフカメラを下げ、キタダケソウなどの高山植物の観測や記録にも精を出す。
また、塩沢さんは多くの登山家や研究者が探す幻の花・ヒメヤナギランの探索も行っている。日本では北岳で報告例があるが、具体的な場所は謎に包まれている。「人が入れない場所に咲いているのかもしれない」と望遠レンズも購入し、発見に意欲を見せる。
202回目の北岳への挑戦は、来年6月の予定だ。
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