被災地ボランティアを体験した 田中南帆(なお)さん 白旗在住 18歳
行動力発揮への第一歩
○…「震災からずっと被災地のことが気になってて。自分の目で確かめたかった。卒業後の進路も決まった『今だ』と思った」。最初はどうやったら被災地ボランティアができるのか、手探りだった。友人が藤沢市市民活動推進センターを通じ震災ボランティアをしていたことを思い出し、一人で同センターに向かった。職員の協力もあり、2月6日から3日間、宮城県への訪問が実現した。
○…名取市では津波被害の爪あとを目の当たりにした。「窓が割れ、鉄骨部分が丸見えになった建物がそのまま残ってて」。復興を伝える報道と現実の違いに、ギャップを感じた。石巻市の牡鹿半島では、地元の主婦たちからアクセサリー作りを教わった。「震災があったとは思えないくらい、お母さんたちは元気でたくましかった」と逆に勇気づけられたという。東松島市の農家では、震災当時のリアルな話を聞いた。「実体験だから重みが違った。何も言えなくなった」
○…藤沢生まれの藤沢育ち。3月に鵠沼高校を卒業、4月からは小田原女子短期大学食物栄養学科に通う。将来の夢は管理栄養士になること。「まずは栄養士の資格をとって、卒業後は働きながら管理栄養士を目指したい」ときっぱり。「料理が好きなんです」。家族に手料理を振舞うことも。「オムライスとかカレーが得意。美味しいって言ってくれます」。弾ける笑顔でハキハキと話す姿が印象的だ。
○…「ボランティアって真面目で堅苦しいイメージがあるけど、そうじゃない。被災地に行かずにできることもある」。気持ちひとつで誰でもできる、と呼びかける。被災地訪問を通じ「まだ復興のスタート地点に立ったばかり。1回ボランティアに行っただけでは満足しない。まだまだ出来ることがあると思う。また行きたい」。華奢な身体に秘めた行動力。発揮への第一歩を踏み出した。