「可笑しな魚の横顔展」を開催中のイラストレーター 三尋木(みひろぎ)正夫さん 鵠沼海岸在住 64歳
魚の美しさに魅了され
○…「命ある物は生きている時が一番美しい―」。3年程前、水面に現れる瞬間の魚の体色が、思わず声を出してしまうほどの美しさで、以来、魚にクローズアップし絵を描くようになった。和真メガネ3F藤沢ギャラリーで、自身初となるイラスト展を開催。鉛筆と水彩で描いた作品28点が展示されている。「描いた魚はどれも釣ったことのあるものばかり。魚は止まってくれないので、色々な角度から観察しないと描けない」と吐露。作品は「根魚」と呼ばれる海底に生息する魚が中心で、「食べるとおいしいから」と笑う。釣った魚を味わうのも、楽しみのひとつだとか。
○…小田原で生まれ、大学生まで海の近くで育った。幼少時代は絵を描くことや工作が好きだった反面、父親とよく釣りに出かけたという。「砂浜で投げ釣りをしたり、素潜りをしたのは良い思い出」と目を細める。大学卒業後、得意だった物作りの才能を活かし、一級建築士の免許を取得。35歳で藤沢に事務所を開設した。「鵠沼海岸は故郷と同じ匂いを感じた」と藤沢の雰囲気に魅かれた。一級建築士として働く傍ら、フリーのイラストレーターとして音楽教室のパンフレットや観光ポスターなどを手掛けていった。
○…「みひ郎」というペンネームで、7年前から始めた沖釣り専門誌「つり丸」での仕事が転機に。現在は「みひ郎の港探訪」という2ページのコーナーを、月1回連載している。「レイアウトも写真も文章も、全て自分で考えるから面白い」。今回展示されている作品は、つり丸に掲載したものが中心という。「絵は止めどころが難しいが、だんだん出来上がっていく過程が楽しい。何回も失敗して学ぶことが多い」と苦笑いするも、「魚1匹1匹の顔も違えば模様も違う。観察すると奥深い」と感慨にふけ、作品を見つめる瞳は温かい。「今度、水族館で魚の顔をよく見てごらん。個性あるから」といたずらに笑った。
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