藤沢市民病院の敷地内に建設された藤沢市消防局救急ワークステーションは8月1日、運用開始から1周年を迎えた。施設の特長のひとつ、一刻を争う重症患者に対する医師同乗の救急出動は、1年間で173件を数えた。
藤沢市消防局救急ワークステーションは、県内初の救急救命隊員24時間常駐型施設として、2013年8月1日に開所。市民病院との連携を生かした医師同乗出動は13年9月から行われており、種別では「急病」の136件が最も多く、「一般負傷」10件、「交通事故」9件、「水難事故」「自損行為」の各5件と続く。
年齢別では、15歳以下の小児科区分の出動が121件、16歳以上は52件と、全体の約7割を子どもの救急対応が占める。一方市内全体の搬送人数では、年間2万174件のうち約55%にあたる1万1012人が65歳以上となっている。
医師が同乗するのは、119番通報の内容で「意識障害」「心肺停止のおそれ」「小児のけいれん」など、緊急の治療が必要と思われるケース。市救急救命課によると、特に薬剤投与などは医師のみに許されている医療行為のため、呼吸停止時などに現場で対応できることで、脳へのダメージを通常よりも軽減できることがメリットだという。この1年間、115件の救急現場で同乗医師による医療行為が行われた。
連絡エラー減少
同ステーションの役割は救急出動態勢の充実だけでなく、救急業務と並行した救急隊員の病院実習の場でもある。隊員は現場で医師から直接実践的な指導を受けられるほか、看護師のような医師のバックアップ業務も求められるため、広範なスキルアップにつながる。
また通常は医師が救急現場を体験する機会は無く、出動に同行した医師らは「病院からの指示の遂行や効果的な救急活動は、現場では想像以上に困難」と一様に驚く。隊員と対面して協力する機会が増えたため、互いの現場の感覚の共有も進んでいる。そのため、出動時の指示や連絡などの際のコミュニケーションエラーは、過去1年間で劇的に減少しているという。
同課は「新しい形態の施設なので、まだ運用は手探りの部分がある。隊員や医師の意見も反映しながら勤務体制や研修の効率化を図り、より良い体制づくりを進めていきたい」と語った。
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