自転車で南米大陸縦断の旅に挑戦する 高島 実さん 白旗在住 61歳
五体で感じる世界の風景
○…9月28日、自転車でペルーのリマから世界最南端の街といわれるアルゼンチンのウシュアイアを目指す、南米縦断の旅に出発する。「アンデス山脈の難所など、危険な道はバスも使う。歳だからね」と照れ笑いを見せるが、全行程約8000Km、最大標高約4300mの過酷な道程の大半は、自身の脚と愛車「ルート号」で走る。ペダルを踏む原動力は「自分の体を使って、そこにしかない景色を眺めに行きたい」というシンプルな憧れだ。
○…自転車での長距離旅行は、今回で3度目となる。初挑戦は2013年の1月、定年退職を迎えた翌日にスタートしたユーラシア大陸横断の旅。約1年をかけ、タイからポルトガルまでの約2万Kmを走り切った。元外資系企業のエンジニアとして海外を訪れた経験が多く、「世界の異文化を見て回り、現地の人と交流したいという強い思いがあった」と熱を込めて動機を語る。街を一つひとつ越える旅の中で生まれた出会いは、かけがえのない宝物だ。
○…山形県出身で、就職を機に藤沢へ。地域柄、子どものころからスキーに親しんでいたこともあり、職場でもスキー部に所属。国体出場も視野に入る選手として活躍していたが、競技の中で足を故障し選手生命を絶たれた。「悔しかった。故障後、フィールドに立てない自分が歯がゆかった」と当時の思いを吐露する。そんな心を晴らしたのも、やはりスポーツだった。「ジョギングや水泳など、できる範囲で運動を続けるうちに前向きになれた。落ち込んでいるだけでは、道は拓けない」としみじみ。
○…現在は妻や娘夫婦、先日誕生した初孫ともに暮らす。妻との出会いも、共通の趣味のテニスを通じてだった。「やりがいも楽しさも、精一杯動いて辛い思いを乗り越えるから生まれる。これは人生にも通じること」と話す眼差しは力強い。新たな世界に出会うため、厳しい道も険しい山も、苦しいからこそ越えてゆく。
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