遠藤地区に伝わる「遠藤焼米つき唄・臼ひき唄」が10月25日、藤沢市指定重要文化財(無形民俗文化財)に認定された。同日、遠藤公民館で開かれた文化祭の中で、同唄を継承する「遠藤農作業唄保存会」に吉田早苗教育長から文化財指定書が授与され、唄の上演も行われた。
「焼米つき唄」は神奈川県と東京都南部に伝わる農作業に伴う労働唄。5月中旬ごろ、余った籾(もみ)を蒸して煎り、臼に入れて杵でつく作業を行うが、その際の調子を揃えるために歌われた。1978年には「かながわの歌50選」にも選定されている。
遠藤地区では戦後途絶えていたが、1962年ごろに地元の青木義春氏が芸能として復活させた。64年には「第1回神奈川県民俗芸能大会」で上演、地区外にも広く紹介されている。
「臼ひき唄」も農作業唄で分布は全国各地。石臼で米や麦、そばをひくときに歌われてきた。同地区では大豆やくず米などをひいており、雨天で農作業ができない時や夜なべ仕事で臼をひくときに歌われたという。
習得難しく練習重ね
現在、60代から90代までの女性15人が所属する「遠藤農作業唄保存会」では、月1回4時間ほどの練習を行い、地域の行事などで上演して保存と普及に努めている。唄の拍数と3本の杵で焼米をつく拍数が異なるため、習得は難しい。同会メンバーは「農家の嫁から嫁へ受け継がれてきたもの。親しまれる唄として、今後も継承していきたい」と話す。
今回の指定で藤沢市所在の指定文化財は、市指定72件、県指定14件、国指定8件の計94件になった。無形民俗文化財では県指定の「江の島囃子」「相模のささら踊り」の2件、市指定のものは「西富ばやし」や「片瀬餅つき唄」「湯立神楽」など7件がある。
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|