藤沢市本町在住でSF作家・評論家の新戸雅章さん(66)がこのほど、『知られざる天才 ニコラ・テスラ エジソンが恐れた発明家』((株)平凡社)を刊行した。新戸さんがこれまでに続けてきた「電気の魔術師」テスラについての研究成果を、一般向けにまとめた集大成だ。
クロアチア出身で、アメリカを主な舞台に活動したニコラ・テスラ(1856〜1943)は交流電力システムの生みの親で、磁束密度の国際単位「テスラ」にもその名を残す発明家。同書ではテスラの経歴やエピソードなどの人物像の紹介のほか、発明や理論などの業績などを総合的に解説している。
また2010年にオバマ米大統領が演説の中で、「代表的な実績のある移民」のひとりとして名前を挙げた事例をはじめ、企業家やクリエイターなど現代の人々に与えている影響も紹介し、幅広い視点からテスラを知ることができる1冊に仕上げた。
同書は平凡社新書で248頁、価格は税別820円。
「自分がやらねば」
新戸さんは藤沢生まれで湘南高校出身。藤沢市役所職員を経て、編集プロダクションを立ち上げ文筆の世界へ。SF作家としての活動のほか評論の雑誌も発行し、作家筒井康隆さんの全集で解説も手掛けた。
一方で、海外の小説や伝記などを通じてテスラを知り、その広範な業績と不遇な生涯に強く興味を持った。当時日本ではテスラに関する資料が非常に少なく、海外の文献を取り寄せながら地道に調べていく日々だったという。テスラを知るほど、優れた実績に対して日本で知られていない状況に理不尽さを感じた。
「自分がやらねば誰がやる」という思いで、93年にテスラに関する研究をまとめた『超人ニコラ・テスラ』((株)筑摩書房)を刊行。その後もたびたび書籍でテスラを紹介し、認知度の向上に努めてきた。今回は過去の著作が入手困難になってきていることもあり、テスラの入門書としてこれまでの研究を一冊にまとめた。
新戸さんは「エジソンやアインシュタインにも匹敵する偉人が、国内で知られていないことが不思議。この本を通じて、多くの人に知ってほしい」と語った。
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