湘南海上保安署の署長に就任した 葉梨 昭典さん 江の島在勤 57歳
海の安全への使命感胸に
○…全国的にも有名な観光地の鎌倉市から湯河原町までの約80Kmの海上を管轄し、海上保安庁内でも人気の部署という第三管区湘南海上保安署。4月1日付で署長に就任し「保安官として使命感に火を付けられるのが湘南署」と目を輝かせる。江の島島内の事務所を拠点に、11人の署員と力を合わせ、海を行き交う船やマリンスポーツを楽しむ人々の安全を監視し、有事には果敢に救助へと向かう。人が多く集まる場所だからこそ事故が発生する確率は高いが、特に事故が多くなるゴールデンウィーク以降に備え、「警察や消防との連携強化など、今は力を蓄えるとき」と襟を正す。
○…茨城県出身。高校卒業後に何気なく採用募集のチラシを手にしたことが入庁のきっかけだった。入庁後は横浜や鹿島、横須賀など、事故現場や外国船と接する第一線の船上で16年間勤務。他にも伊東マリンパトロールステーション所長や、緊急通報の118番を受信し、関係各所へ救助活動に必要な情報を伝える運用司令センターで所長を務めるなど、現場とデスクワークを約3年間隔で経験してきた。幅広い経験を生かし、采配を振る。
○…すらっと背筋の通った細身の体型にさわやかな笑顔。部下に指示を出すだけでなく、海のボーイスカウト「海洋少年団」の活動にも自ら積極的に協力するなど現場主義だ。目標は「管内での海難事故ゼロ。特に子どもの事故を防ぐために、幼いころから意識を高めてもらうことが大切」と訴える。今後は地元小学校への出前授業に赴き、着衣泳や水上安全教室を開けるよう学校へ積極的に働きかけていく予定という。「末端でも人を助けることに携われることがこの仕事の醍醐味」。力及ばず亡くなった家族に対応するときがとにかく辛いそうだが、「使命感をさらに強めることに繋がる」と力を込める。湘南の海で誰もが楽しい思い出を作れるよう、日夜目を光らせる。